1番人気敗退の東京新聞杯でのカンパイ疑惑 / 初心者にも熱心な競馬ファンにもわかりやすい説明を
1番人気のマスクトディーヴァのゲートの前扉が若干遅く開いた理由
2月4日、東京競馬場で行われた重賞・東京新聞杯では単勝1番人気のマスクトディーヴァが6着に敗退した。
スタートに大きく出遅れたのが原因で大きく離れてレースを進めることになったが、全体のペースが遅かったこともあり道中は最後方ながらも馬群にとりつくことができた。しかし、スタート時の不利はその後にも大きな不利をもたらし、結果6着に終わった。
マスクトディーヴァが出遅れた理由は、スタート時に前へ突進しようとしてしまい、それを鞍上の岩田騎手が御したものの、運悪くマスクトディーヴァがゲート内で体を大きく動かしているタイミングにスタートが切られてしまったことだ。結果、マスクトディーヴァは大きく出遅れた。
しかし、気になることがあった。
マスクトディーヴァのゲートの前扉の開き方だ。JRAが公式ホームページ内で公開しているパトロールフィルムを見ると、マスクトディーヴァのゲートの前扉が僅かに遅れて開いているのが確認できる。これだけを見ると「馬によってゲートの前扉が開くタイミングに差があった」と誤解されても仕方ないのではないか。
実際のところ、筆者の知る限り、JRAが使用しているゲートは前扉が圧迫されると開きにくくなる特性があると認識している。あくまでもマスクトディーヴァがゲート内で大きく動いたことが原因で前扉に負荷がかかり、その結果としてゲートの前扉が開きにくかっただけでゲートそのものの機能性には問題はなかったと推察する。
しかし、それでも物理的にマスクトディーヴァの前扉だけがコンマ数秒だが遅く開いた事実は変わりなく、これに対してJRAからの公的な説明は一切ないのが現状だ。
説明というか、[競走中の出来事等]として以下の文章が発表されただけだった。
■2024年 東京新聞杯(GIII) / JRA公式
もしも、だが。ゲートそのものに不備があったならば「カンパイ」という措置がとられる。JRAによる「カンパイ」の説明は以下のとおり。
昨今、メディアで写真や動画を公開するのもたやすくなった。
だからこそ、ゲートそのものに問題がないから「カンパイ」にはならなかったという事実をファンに積極的にわかりやすく説明したほうがいい、と筆者は感じた。
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