松葉蟹と越前蟹の違いは? 1人1杯のズワイガニを目の前で調理してくれる夢のような店がオープン!
ズワイガニの漁が解禁
2021年のズワイガニの漁が11月6日に解禁されました。漁の期間は雄が2022年3月20日まで、雌が2022年1月10日までとなっています。
ズワイガニは日本を代表する冬の味覚で、定番の高級食材。茹でたり、蒸したりするのがポピュラーな調理方法で、脚の肉だけではなく、カニミソ、卵巣(内子)、卵(外子)も食されます。
地域によって呼び名が異なり、それがブランドにつながっているのも特徴的。
代表的な呼び名を挙げると、石川県では雄が「加能蟹」で雌が「香箱蟹」、福井県では雄が「越前蟹」で雌が「セイコガニ」、山陰地方では雄が「松葉蟹」で雌が「セコガニ」となっています。
カニ専門店が銀座にオープン
ズワイガニ漁が開始されたのとほぼ同時期、2021年11月15日にオープンし、注目されているのが「かにじぇんぬ 銀座」。
爪や甲羅のほか、活きたカニでしか味わえないフンドシや臓を、刺身や茹で(レア、ミディアム、ウェルダン)、焼きなど、それぞれの部位に適したスタイルで仕上げてもらえます。
完全個室のプライベート空間で、専属の料理人がゲストの目の前で調理してくれるのも人気の理由。
提供されているのは、主に次のコースです。
・活けたらば蟹のコース(29,700円〜)
・活け松葉蟹のコース(49,500円〜)
・黄金蟹のコース(55,000円〜)
・特選越前蟹のコース(80,000円〜)
さすがカニ専門店ということで、松葉蟹や黄金蟹という豪華なコースが用意されています。「活け松葉蟹のコース」では、兵庫県の松葉蟹をゲスト1人につき1杯用いるという贅沢ぶり。
最もオーソドックスな「活け松葉蟹のコース」のメニューをいくつか紹介しましょう。
渡り蟹 ビスク
ワタリガニの旨味が凝縮されたビスク。寒くなってきたので、最初は温かいものがよいと提供された突き出しです。タマネギの甘味、ニンジンの香味、ショウガのスパイシーさも感じられます。
八寸
5種類の前菜がのせられた美しい八寸です。左上が「鮑 蕎麦の実」、右上が「海老芋 湯葉掛け」、真ん中が「大浦牛蒡 山椒煮」、右下が「蕪玉味噌掛け 和牛ロースト」、左下が「渡り蟹 芹のお浸し」。海の幸と山の幸を存分に味わえ、目でも楽しめる一品です。
お刺身
ここからは松葉蟹を用いた料理となり、まずは刺身。シンプルな醤油漬けか、香り高い紹興酒漬けかを選べます。紹興酒漬けは他ではなかなか食べられない松葉ガニの刺身です。中国料理には酔っ払い海老もあるだけに、甲殻類と紹興酒の相性は抜群。
炭火焼き
炭火を使った焼きガニで、蟹味噌とポン酢で食べるスタイル。焼いたカニは香りが立ち、温かさも加わって旨味もしっかりと感じられます。
香箱蟹
雌のズワイガニである香箱蟹を甲羅に詰め込んで、丸ごとフライに。生姜風味のあんかけでいただきます。
しゃぶしゃぶ
カニの出汁でつくったしゃぶしゃぶ。磯の香りがふんだんに感じられ、カニの旨味もさらに引き立っています。蟹味噌のしゃぶしゃぶも楽しめるのは嬉しいところ。
甲羅焼き
甲羅を用いたしゃぶしゃぶ。凝縮されたカニ味噌も加えられていて、ほんのりとした苦味が心地よいです。仕上げにフカヒレの姿煮を炊き立てのご飯と一緒に味わえます。
魚沼産 こしひかり
最後はややかために炊いた白いご飯。牛肉の時雨煮、イクラ、ジャコと実山椒、ナメタケと、ご飯のお供も充実。隠れメニューとして、海老カレーや冷麺も用意されています。
オープンの経緯
どれも松葉蟹をたっぷりと使った贅沢な料理でしたが、どのような経緯でオープンしたのでしょうか。
同店を運営するQRAUD(クラウド)東京エリア統括料理長を務める永井克宜氏は、次のように振り返ります。
「当社はひとつの食材をテーマにした専門店ばかりを展開している。既に大阪でカニをテーマとした『活け蟹と海栗 カニジェンヌ』を2017年にオープンしている。アップグレードさせた店舗を銀座に構えることは以前から計画していた」
大阪店は個室が3つですが、銀座店は個室が4つ。ゲスト1人あたりのカニのボリュームは、大阪店が約800グラム、銀座店が約1,200グラムとなっています。
「ズワイガニ漁の期間は松葉蟹をご提供し、禁漁になったら、北海道のタラバガニや毛蟹のコースになるので楽しみにしていただきたい」
世界有数の魚介類好き
手が汚れるから、手間がかかるからと、カニを遠慮する人もいますが、ここでなら全て調理してもらえるので気にする必要はありません。テーブルウェアも素晴らしく、信楽焼などの陶器が中心で、土物の風合いがカニとよく合います。
世界でも有数の魚介類好きといわれている日本人。カニの魅力を十二分に引き出す「かにじぇんぬ 銀座」は、新たな業態を切り開いたといってよいかもしれません。