小惑星ベンヌのサンプルがJAXAに到着、生命の起源に迫るNASA探査機「OSIRIS-REx」
8月22日、JAXAはNASAの探査機「OSIRIS-REx(オシリスレックス)」が小惑星ベンヌから地球へ持ち帰ったサンプルを受け取ったと発表しました。本記事では、小惑星のサンプルから解明が期待されることや、OSIRIS-RExのミッションについて解説します。
■生命の起源や地球誕生の謎に迫る!
アメリカ版の「はやぶさ」であるオシリスレックスの目的は、小惑星「ベンヌ」のサンプルを地球へ持ち帰り分析することで、生命の起源や太陽系の形成についての手がかりを得ることです。1999年に初めて発見されたベンヌは、直径約500メートルと小さいながらも、その表面には太陽系が形成された約46億年前の物質が保存されていると考えられています。ベンヌの有機物や鉱物は、地球上で生命が誕生するための材料となった可能性があるのです。
また、ベンヌのような小惑星には水や貴金属などの天然資源が含まれているとされ、これらは将来的に宇宙探査や資源開発のために利用される可能性があるのです。例えば、小惑星を月の周回軌道まで引っ張っていき、宇宙飛行士が貴金属を採取して地球に持ち帰るなどの計画が提案されています。オシリスレックスは、有人小惑星探査のための重要な準備として位置付けられているのです。もしかすると、将来はベンヌが宇宙飛行の中継基地になるかもしれませんね。
OSIRIS-RExの名前の由来は、起源、分光スペクトル解析、資源の特定、セキュリティ、地表探査機の頭文字から構成されています。ちなみに「ベンヌ」 とは、エジプト神話に登場する不死鳥で、オシリスの魂という由来があります。
■7年にも及ぶOSIRIS-RExのサンプルリターンミッション
2016年に打ち上げられたOSIRIS-RExは、2年の歳月をかけて2018年に無事ベンヌへ到着しました。ベンヌは当初、表面がなめらかな砂浜のような小惑星と考えてられていました。しかし、実際には岩が散らばったゴツゴツした表面であり、完全に予想に反していたとのことです。
2年間の観測を経て、ベンヌは「活動的」な小惑星であるという特徴もわかってきました。表面からは小石やダストの噴出が観測されることもあり、これは太陽光による表面の加熱や冷却による可能性などが考えられています。これはイトカワやリュウグウには見られなかった傾向とのことです。
そして2020年、遂にベンヌへの着地が実施されます。NASAによると、小惑星ベンヌの表面には岩や小石が積層しており、着地した際に機体が表面から50cm沈み込んだとのことです。巻き上がった砂の量は約6トンと見積もられています。もしベンヌから浮上するスラスター噴射を行わなければ、ずぶずぶと中に沈み込んでいったと考えられています。
サンプル採取は無事に成功。目標の60グラムを大幅に上回る、121.6gのサンプルが収集されました。そして2023年9月24日、遂にOSIRIS-RExから切り離されたカプセルは大気圏に再突入し、アメリカ ユタ州の砂漠地帯に無事に着陸したのです。
果たしてベンヌのサンプルから生命の痕跡や地球の起源の解明につながる手がかりが見つかるのか、今後も目が離せませんね。
【毎週土曜21:00~宇宙ニュース配信中!!】
【関連記事】