PTSD(心的外傷後ストレス症)とは何か? 主な治療方法は、薬物治療と精神・心理療法です。
こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。
PTSD(心的外傷後ストレス症 Post-Traumatic Stress Disorder)とは、死にそうな経験、大きなケガを負う経験、性的暴力を受けるなど、精神的衝撃を受けるトラウマ(心的外傷)体験に晒されたことで生じる、特徴的なストレス症のことをさします。
出来事の例としては、災害、暴力、性被害、大きな事故、戦闘、虐待などが挙げられます。そのような出来事に他人が巻き込まれるのを目撃することや、家族や親しい者が巻き込まれたのを見聞きすることも、トラウマ体験となり得ます。また災害救援者もPTSDになることがあります。
PTSDの主な症状と診断
1.侵入症状
トラウマとなった出来事に関する不快で苦痛な記憶が突然蘇ってきたり、悪夢として反復されます。また思い出したときに気持ちが動揺したり、身体生理的反応(動悸や発汗)を伴います。
2.回避症状
出来事に関して思い出したり考えたりすることを極力避けようしたり、思い出させる人物、事物、状況や会話を回避します。このことによって、社会生活に日常生活に支障が生じます。
3.認知と気分の陰性変化
否定的な認知、興味や関心の喪失、周囲との疎隔感や孤立感を感じ、幸せや愛情などの明るくポジティブな感情(幸福、愛情など)が持てなくなります。
4.覚醒度と反応性の著しい変化
イライラ感、無謀または自己破壊的行動、過剰な警戒心、ちょっとした刺激にビクッとするような驚愕反応、集中困難、睡眠障害がみられます。
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上記の症状が1ヵ月以上持続し、それにより顕著な苦痛感や、社会生活や日常生活の機能に支障をきたしている場合、医学的にPTSDと診断されます。
心的外傷の出来事から4週間以内の場合には、ASD(急性ストレス症 Acute Stress Disorder)の基準が設けられており、PTSDとは区別されています。
※ ASDは、自閉スペクトラム症と混同されることが多いため、通常は、急性ストレス症と呼ばれることが多いです。
PTSDの治療
1.精神療法(心理療法)
PTSDの治療は、精神療法(心理療法)が主となります。通常は、精神科医が行うものを精神療法、私のような心理師が行うものを心理療法と呼ばれることが多いです。
私は、傾聴をもっとも大切にするカウンセラーです。
クライアントには、いつも「好きなことを、好きなように、好きなだけ話してもらおう」と思って、カウンセリングしています。
私が主に使う心理療法は、クライアントを害する恐れの少ない来談者中心療法で、ときどき認知行動療法を使ったりしています。私は、プロの心理臨床家として26年のキャリアがあるのですが、正直申し上げて、2024年の春頃までは、PTSDに苦しむクライアントを援助するのが苦手で下手でした。そう、「話したくありません」「思い出したくもありません」「認知を変えるのは無理です」と仰るクライアントに対しては、無力だったのです。また、性犯罪の被害者に向き合うことに対しても、私自身、臆する気持がありました。
でも、今は違います。2024年の秋ぐらいから、有効な心理療法を身につけることができ、PTSDで苦しむクライアントを適切に援助できるようになりました。
よって、この記事をお読みのPTSDで苦しむ方には、適切にPTSDを扱える、薬物療法にも詳しいカウンセラーの元で、カウンセリングを受けられることをおススメいたします。
PTSDの治療に有効な心理療法は、持続エクスポージャー法、認知処理療法、眼球運動による脱感作と再処理法、認知療法などがあります。
2.薬物療法
PTSDの患者さんには、抗うつ薬であるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を用いられることが多いです。 副作用が少ないことからも、やはりSSRIが第一選択候補として挙げられるでしょう。SSRIは、脳内の神経伝達物質であり、幸せホルモンと呼ばれているセロトニンの働きを高める作用が期待できます。
他には、抗不安薬や、寝つきが悪い人のために睡眠導入剤を用いられることもあります。
私は、あなたが、PTSDの治療に成功し、毎日を爽やかに幸せに生きていかれることを心から祈っています。
今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。
この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。