ロンドン五輪に学ぶべき、街を主役にする考え方
日本シリーズの3戦目から5戦目までの舞台になった神宮球場。周囲の野球好きは言う。「野球を見るなら神宮が一番だ」と。「野球が純粋に楽しめる」、「あそこで飲むビールの味は格別」、「空が広くて開放的」、「試合後、飲食する場所が周囲に多い」等々、頷くことしきりだが、今日的なスタジアム像かと言えばノーだ。東京ドームの方が、世の中が欲しているもののように見える。「ヤフオクドーム」もしかり。
今年の日本シリーズは、対照的なホームスタジアムを持つチームの戦いだったわけだ。ドームにはドームのよさがあるし、神宮には神宮のよさがある。どっちが好きかは、好みの問題になるが、少なくとも、明治神宮外苑にドームは不似合いだ。
スタンドの嵩を低く抑えた掘り下げ式。神宮球場には、空が広く感じられる仕組みが施されてある。つまりスタンドは、背後に控える神宮の杜の厳かな雰囲気に覆われやすい。
もしドームなら、それは完全に遮断される。立地の魅力を無視した他と変わりないものになる。
神宮球場に隣接していた旧国立競技場の魅力とも一致していた。東京のド真ん中にあるのに、都会の喧噪を感じさせないところが魅力だった。そこにドームスタジアムを建設しようとしたのがザハ・ハディド案。しかし、それを最優秀作品に選んだのは日本側だ。神宮外苑の魅力、旧国立競技場の魅力を知らないであろうザハ・ハディドさん側の問題というより、知っていながら選んでしまった人に問題がある。
この記事は有料です。
たかがサッカー。されどサッカーのバックナンバーをお申し込みください。
たかがサッカー。されどサッカーのバックナンバー 2015年10月
税込550円(記事4本)
※すでに購入済みの方はログインしてください。