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ロンドン五輪に学ぶべき、街を主役にする考え方

杉山茂樹スポーツライター

日本シリーズの3戦目から5戦目までの舞台になった神宮球場。周囲の野球好きは言う。「野球を見るなら神宮が一番だ」と。「野球が純粋に楽しめる」、「あそこで飲むビールの味は格別」、「空が広くて開放的」、「試合後、飲食する場所が周囲に多い」等々、頷くことしきりだが、今日的なスタジアム像かと言えばノーだ。東京ドームの方が、世の中が欲しているもののように見える。「ヤフオクドーム」もしかり。

今年の日本シリーズは、対照的なホームスタジアムを持つチームの戦いだったわけだ。ドームにはドームのよさがあるし、神宮には神宮のよさがある。どっちが好きかは、好みの問題になるが、少なくとも、明治神宮外苑にドームは不似合いだ。

スタンドの嵩を低く抑えた掘り下げ式。神宮球場には、空が広く感じられる仕組みが施されてある。つまりスタンドは、背後に控える神宮の杜の厳かな雰囲気に覆われやすい。

もしドームなら、それは完全に遮断される。立地の魅力を無視した他と変わりないものになる。

神宮球場に隣接していた旧国立競技場の魅力とも一致していた。東京のド真ん中にあるのに、都会の喧噪を感じさせないところが魅力だった。そこにドームスタジアムを建設しようとしたのがザハ・ハディド案。しかし、それを最優秀作品に選んだのは日本側だ。神宮外苑の魅力、旧国立競技場の魅力を知らないであろうザハ・ハディドさん側の問題というより、知っていながら選んでしまった人に問題がある。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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