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イギリスとEUの合意は数日中か?:ブレグジット

今井佐緒里欧州/EU・国際関係の研究者、ジャーナリスト、編集者
(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

23日になって、複数の報道が、欧州連合(EU)と英国が、クリスマス前に合意する可能性を報じている。

ロイター、AFP、英国やフランスのメディアなどである。「すでに合意の最終段階に来ている」ということだ。

すべてが各メディアがもつ「ヨーロッパ情報筋」からの情報なのだが、「早ければ23日合意」という人もいれば、「23日か24日には合意」、「クリスマス後の可能性も否定できない」など、様々に言われている。

23日の合意はもう時間的に厳しそうであるが、24日の可能性はあるかもしれない。あるいは、25日は間違いなく休暇としても、26日以降、休み返上で交渉を続けて合意に至ることがあるかもしれない。

また、EU・欧州委員会のデア・ライエン委員長とジョンソン英首相が、30日(水)に再会談する見込みだという。彼らは21日(月)に意見交換をしていた。

また、英紙『ガーディアン』の報道によると、27カ国のEU駐在大使は、24日の午前中に会合をもつ予定である。

もし本当に合意するのなら、議会の批准が必要だ。

2000ページにも及ぶと言われる合意文書にGoサインを出すか否かを決めなければならない(読む時間はあるのか? 各加盟国選出の欧州議員が読むには、翻訳も必要になるはずだが)。

イギリス側は、17日、ジョンソン首相が、議会は本日から休暇に入るが「もしEUとの合意が成された場合、招集される可能性がある」と述べていた

欧州議会のほうは、「年内の批准を望むなら、20日までの合意が最終期限」としていた(ただ、どこかで「30日臨時招集の可能性」という情報を読んだと思うのだが・・・その情報を再度探してみたが、みつからなくなってしまったので、確かだとは言えなくなってしまった)。

もちろん、今まで何度も期待をもたせておいて合意に至らなかったので、今回もシニカルな目は残しておきたい。

どのみち、イギリス側が、漁業問題でやや柔軟な姿勢に転じていたのは確かである。

ジョンソン首相の考えを変えたものは何だったのだろうか。

新型コロナウイルスの変異種がイギリスに登場して、発症患者が出ていたのは、発表よりももっと早くに判明していた。この新たな疫病の登場が彼を変えたのだろうか。支持率の著しい低下だろうか、それとも、スーパーの生鮮食料品棚がからっぽになることが増えて、不安で買い占めに走る国民を見たからだろうか。

とまれ、多くの人がいうように、コロナ変異種による混乱は、合意なしブレグジットの予行練習のようになってしまったのだ。

欧州/EU・国際関係の研究者、ジャーナリスト、編集者

フランス・パリ在住。追求するテーマは異文明の出会い、平等と自由。EU、国際社会や地政学、文化、各国社会等をテーマに執筆。ソルボンヌ(Paris 3)大学院国際関係・欧州研究学院修士号取得。駐日EU代表部公式ウェブマガジン「EU MAG」執筆。元大使のインタビュー記事も担当(〜18年)。編著「ニッポンの評判 世界17カ国レポート」新潮社、欧州の章編著「世界で広がる脱原発」宝島社、他。Association de Presse France-Japon会員。仏の某省機関の仕事を行う(2015年〜)。出版社の編集者出身。 早稲田大学卒。ご連絡 saorit2010あっとhotmail.fr

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