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月の裏側への世界初の着陸成功!中国の月着陸機「嫦娥4号」(中国月探査シリーズ中編)

月の裏側に着陸した中国の月着陸機「嫦娥4号」©Wikipedia/CNSA

1月20日、JAXAの月探査機「SLIM」が月面着陸に成功し、記念すべき快挙を達成しました!

本記事では、前編に引き続き中国の月探査計画「嫦娥」を詳しく解説していきたいと思います。

JAXAの月着陸機「SLIM」を詳しく知りたい方はこちらの記事で

■嫦娥計画とは?

嫦娥計画は中国が国家プロジェクトとして推進する月探査計画です。今までで5機の人工衛星を月に送っており、最初は2007年の嫦娥1号に始まり、2020年には嫦娥5号により月からのサンプルリターンにも成功しています。

嫦娥1~3号を詳しく知りたい方はこちらの記事で

■「嫦娥」の由来とは?

嫦娥のイメージ図©Wikipedia
嫦娥のイメージ図©Wikipedia

「嫦娥」という名前の由来も解説しておきます。嫦娥とは、中国の古い物語に出てくる女性の名前です。弓の名手「后羿」はある日、飲むと仙人になれるといわれる"仙薬"を崑崙山の伝説の女神から譲り受けます。しかし、后羿は妻の嫦娥を一人残して仙人になるわけにはいかないと、その薬を保管しておくように嫦娥に命じました。しかし、ある時その薬を他人に奪われそうになり、嫦娥はそれを慌てて飲んでしまったのです。その結果、嫦娥は天に舞い上がってしまいました。しかし、后羿のことも気がかりだった嫦娥は、地球に一番近い月に住むことにしたのです。

ちなみに、嫦娥は天に舞い上がった時に一匹のウサギを抱えていました。この子の名前は「玉兎」と言って、いつも嫦娥のそばで木槌をつつき、不老不死の薬を作っています。この玉兎は嫦娥計画の月探査ローバーとしても活躍しています。

■月の裏側への着陸に成功した「嫦娥4号」

月の裏側に着陸した中国の月着陸機「嫦娥4号」©Wikipedia/CNSA
月の裏側に着陸した中国の月着陸機「嫦娥4号」©Wikipedia/CNSA

それでは前編に続き、嫦娥4号の目的は、月の裏側に世界で初めて着陸することです。実は、アポロ計画でも月の裏側への着陸は行っていません。その理由は、月そのものが障害となり、地球との間での通信が困難になるためなのです。そのため嫦娥4号は、月軌道上に中継通信衛星を配置することで、電波通信の問題を解決するのです。

そして、嫦娥4号は2018年に長征3Bロケットにより打ち上げられました。月への遷移は無事完了し、いよいよ月の裏側への着陸です。そして、2019年1月3日、嫦娥4号は月の裏側である東経177.6度、南緯45.5度に無事着陸を成功させ、世界初の快挙となりました。

■月面で植物を栽培!?

そして、嫦娥4号にはもう一つの目的があります。それは、月面での植物や生物の観察です。嫦娥4号は綿花のほか、じゃがいもの苗、イースト菌、ミバエの一種の卵などを搭載しており、それらが生育するのに必要な環境を維持するようになっています。なんと綿については種子の発芽に成功しています。これは月面で初めて植物が生育した例となりました。月面はほとんど大気がないことから、昼夜の温度差が200度以上にのぼる過酷な環境なのですが、植物の栽培が可能であることが示されたのです。これにより、約2年半ともいわれる火星への道程において、月面での食物収穫により補給物資の節約ができるようになるかもしれませんね。

■月面での活動最長記録を更新「玉兎2号」

嫦娥4号に搭載した月探査ローバー「玉兎2号」©Wikipedia/CNSA
嫦娥4号に搭載した月探査ローバー「玉兎2号」©Wikipedia/CNSA

さらに嫦娥4号には、月探査ローバーである「玉兎2号」が搭載されています。玉兎2号は月探査レーダーを利用して、月面の深部に向けて無線信号を送り月の裏側の地層図を作成します。今までのローバーの月面での探査最長記録はこれまで、旧ソ連の「ルノホート1号」が321日間で49年の間にわたり記録を保持していました。しかし、玉兎4号は2020年の9月にもスリープモードが解除され、世界最長記録を更新しています。

嫦娥3号の着陸成功に続き、中継衛星を利用して月の裏側に着陸することに成功した中国、恐るべしですね。

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