七草粥を食べられる意外な場所とは?
消化性に優れて栄養も豊富な「七草粥」
1月7日は人日(じんじつ)の節句。毎年この日に「七草粥」を食べるようになったのは平安時代の宮中からとされているが、私たち一般庶民に広まったのは江戸時代のこと。年末年始と食べ過ぎてしまった後に食べる「七草粥」は消化にも良く栄養も豊富で、現代のライフスタイルにも合った食文化と言えるだろう。
普段はなかなか目にすることのない七草だが、正月になるとスーパーなどの店頭には「春の七草」セットが並ぶ。セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロ。これら春の七草には食欲増進や健胃効果などの薬膳効果があるのは言うまでもないが、日本古来から言い伝えられた縁起を担ぐ意味合いも込められているという。
由来には諸説あるが、一説として「芹(セリ)」は「競り勝つ」、「薺(ナズナ・ぺんぺん草)」は「撫でる=汚れを祓う」、「御形(ゴギョウ)」は人の形や仏の形を表す縁起物、「繁縷(ハコベラ)」は文字通り「繁栄がはびこる」、「仏の座(ホトケノザ)」は仏様が座る蓮座、「菘(スズナ・蕪)」は神様を呼ぶ鈴、「清白(スズシロ・大根)は「清廉潔白」を意味するとされている。
無病息災、五穀豊穣を祈願した「七草粥」
とは言え、七草を買って自分で作るのはちょっと面倒という人も多いだろう。そんな人は遅い初詣も兼ねて七草粥を振る舞う寺社へ足を運んでみてはどうだろうか。意外に知られていないことだが、寺社では「無病息災」「魔除け」「五穀豊穣」などを祈願する理由で、参詣者などに七草粥をふるまっているところが少なくないのだ。
埼玉県秩父市長瀞にある「七草寺」の一つでもある『不動寺』では、毎年1月7日に「七草粥まつり」が開催され、参詣者に七草粥が無料でふるまわれる。また、群馬県桐生市の『崇禅寺』では、毎月「朝粥会」という坐禅会が行われているが、1月は7日に地元で採れた七草を使った七草粥になる。
虎ノ門に程近い愛宕の『愛宕神社』では毎年7日に「七草火焚き祭り」が行われている。お札やお守りのお焚き上げの火に当たって無病息災を願った後に七草粥がふるまわれる。また、酉の市起源発祥として知られる、浅草の『鷲神社』では毎年7日に「新春餅つき大会&七草粥」を開催。奉納神楽舞や餅つき大会と共に七草粥がふるまわれる。
平成も今年で終わり、日本古来の風習も薄れていく昨今だが、時には古くから続いている風習や文化をなぞってみるのも悪くない。暴飲暴食で疲れてしまった身体を七草粥でそっと休めて、元気に新たな一年のスタートを。
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