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高橋文哉、難役への取り組み方を語る「勉強不足を実感、分からないことは素直に聞く」

田辺ユウキ芸能ライター
写真:筆者撮影

2022年1月から始まったドラマ『ドクターホワイト』(カンテレ・フジテレビ系)で好演をみせている、高橋文哉。2021年にはドラマ『最愛』(TBS系)でも話題を集めるなど、注目の若手俳優のひとりだ。

そんな高橋が出演するホラー映画『牛首村』(全国公開中)。ファッションモデルとして脚光を集めるKōki,が、主演で一人二役をつとめた同作。高橋は、恋人・詩音(Koki,)を謎の事故で亡くして絶望の淵に立たされる倉木将太に扮している。今回はそんな『牛首村』のことや、彼のパーソナリティについて話を訊いた。

「Koki,ちゃんは尊敬できる」

大ヒット公開中の映画『牛首村』で主演をつとめたKoki,/(C)2022「牛首村」製作委員会
大ヒット公開中の映画『牛首村』で主演をつとめたKoki,/(C)2022「牛首村」製作委員会

――高橋さんにとってこの『牛首村』は、初のホラー映画出演作ですね。

ホラー映画がお好きな皆さまの気持ちが理解できるきっかけになりました。ホラー映画ならではのヒヤヒヤ感、ドキドキ感が漂っていて、サスペンスとはまた違う色の感情の揺らぎも感じられたんです。しかも清水崇監督ならではの、じわじわと「何かが来るんじゃないか」という演出もあって。

――清水監督の映像演出のなかでも、どのあたりが印象に残っていらっしゃいますか。

窓ガラスや鏡に何かが映り込んでしまうところですね。特にエレベーターのなかで、詩音の姉・奏音(Koki,)が鏡を見つめている場面に注目して欲しい。いろんな描写を積み重ねた上での場面なので、観ている側がのめり込みやすいようなっています。あの緊張と緩和こそが、ホラーが人の心を掴んで離さない理由な気がしました。

――ちなみに高橋さん自身、ホラー映画の鑑賞はそんなにしてこなかったのですか。

「怖い」という気持ちしかなくて、避けてきたところがあるんです。『牛首村』に携わっていながら、こんなことを言って良いのかわからないんですけど…。中学生のときとか、友だちと集まって観たりするじゃないですか。でも、序盤5分くらいで別の部屋に逃げていました。家族も全員、ホラーが苦手なので「『牛首村』はさすがに観に行けない」と言っていたほど(笑)。東京での完成披露試写会のときに母親が来てくれましたが、案の定「もう、ひとりで帰れない」と連絡が入っていました。

高橋演じる倉木将太(右)は、恋人を亡くして絶望する/(C)2022「牛首村」製作委員会
高橋演じる倉木将太(右)は、恋人を亡くして絶望する/(C)2022「牛首村」製作委員会

――『牛首村』は作品構造的に、エレベーター、ほら穴など、上下運動を意識させるものが象徴的に登場します。そして、そこから誰が何を引っ張り上げるか、救い出せるかが重要な出来事になっています。そこで高橋さんご自身のお話になるのですが、自分をここまで引き上げてくれた作品や人などはありますか。

特定のものはないのですが、これまで関わってきた作品の脚本と監督です。脚本を読んで自分でいろんな想像をして、さらに監督から役についてアドバイスをいただく。そうやって毎回、引き上げていただいています。そういう作業をするうちに、自分でも気づかなかった物語の秘密を見つけることができる。演技って正解がない世界。だからこそ、誰かに引き上げてもらっている感覚を持っていたい。最近。自分のなかで「この芝居は100点だ」とならなくても良いと考えているんです。そうではなく、監督やスタッフのみなさん、そして脚本の力で良い結果へ引き上げてもらうイメージでやっています。

――共演者の影響力はいかがですか。

もちろん大きくあります。今回は特に、Koki,ちゃんにすごく感謝していて。彼女はどんなときでも、「ありがとう」の言葉を忘れないんです。現場でも、Koki,ちゃんがスタッフさん、共演者、いろんな人に「ありがとうございます」とお礼を言っている姿を何度も見ました。すごく尊敬できる部分です。僕も、感じたことをもっと口に出していかなきゃいけない。何事も「思っているだけじゃダメだな」って。

『グータンヌーボ』共演で勝地涼と急接近

勝地涼との裏話を明らかにした高橋/写真:筆者撮影
勝地涼との裏話を明らかにした高橋/写真:筆者撮影

――映画、ドラマなど出演作も増加し、演じる役の幅も広がっています。現在は、医療ドラマ『ドクターホワイト』にも出演していらっしゃいます。

いやあ、台本が難しいです(笑)。自分の勉強不足を実感しているので、これからもっといろんなことを学んでいきたいです。作品に出る限り、台詞に出てくる単語の意味はすべてきっちり知っておきたい。どんな役にも当てはまる話ですが、そうじゃないと自分の口からは発することができないと考えています。医療ドラマはなおさらのこと。医療関係の言葉について尋ねられて、「それって多分、こういうことじゃないですか」ではいけない。きっちり理解しておきたいんです。「もっと勉強しよう」と前のめりになってきました。あと、分からないことは素直に聞くように心がけています。恥ずかしがらずに、「これってどういう意味ですか」と。

――高橋さんのそういう素直さが、共演者の方たちから可愛がられる部分じゃないかなと思います。たとえば『ドクターホワイト』で共演している勝地涼さんと、1月10日放送『グータンヌーボ2スペシャル』(カンテレ・フジテレビ系)に出演されましたよね。オンエア後、勝地さんのInstagramに仲が良さそうな手繋ぎ写真が掲載されて話題になりましたが。

まさか、あれがネットニュースになるなんて(笑)。次の日、勝地さんと「僕らは何で手を繋いだのか」という話になったんです。勝地さんは「文哉から繋いできた」と言うんですけど、絶対に勝地さんからなんですよ(笑)。

――そんな裏話が。

どちらでも良いんですけど、あのときはまだお会いして2回目のとき。会話も「お酒とか飲む?」くらいで。『グータンヌーボ』でご一緒して、そこで距離が近くなりました。勝地さんのファンのみなさんには「ちょっと近めの距離でやらせてもらっちゃって、すみません」という感じです(笑)。

「生きている限り、役になりきる」

『牛首村』で役者としての決意を強く固めたという/写真:筆者撮影
『牛首村』で役者としての決意を強く固めたという/写真:筆者撮影

――『牛首村』では、人間が持つ隠の要素を表現されています。またひとつ、高橋さんのなかで演技の引き出しが増えたんじゃないですか。

ローテンションで演じることについて学びました。あと何より、「生きている限りは、役になりきっていこう」と考えるようになりました。『牛首村』の緊張の糸が解けるような場面で、実際に自分の気持ちが緩んだような瞬間があって。きっと詩音のことを本気で大切に思っていたんです。だから、「失いたくない」と彼女への感情がリアルにふくらんでいきました。

――役に入り込んでいたということですね。

映画のストーリーの軸がしっかりとしているから、役に入り込むことができました。そして、だからこそホラーとしての要素が深い。観終わったらきっと、恐怖心と安心感が入り混じるはず。ホラーが好きな方も、新しい発見をしてもらえる作品だと思います。

※Koki,のoはマクロン付きが正式表記

芸能ライター

大阪を拠点に芸能ライターとして活動。お笑い、テレビ、映像、音楽、アイドル、書籍などについて独自視点で取材&考察の記事を書いています。主な執筆メディアは、Yahoo!ニュース、Lmaga.jp、Real Sound、Surfvote、SPICE、ぴあ関西版、サイゾー、gooランキング、文春オンライン、週刊新潮、週刊女性PRIME、ほか。ご依頼は yuuking_3@yahoo.co.jp

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