【上田市】「シンペイ~歌こそすべて~」のロケ地(5)信州大学繊維学部(映画公開に先行して詳しく紹介)
2024年11月22日(金)より長野県で先行上映される映画「シンペイ~歌こそすべて~」。上田市内で5割程度が撮影されました。そこで一足早くロケ地の深掘り紹介をいたします。シリーズ第5回は信州大学繊維学部です。
キャンパス内に、いくつもの歴史的建造物が残されています。
正門の横にある警務員室は1912年の竣工で、国の有形文化財です。第一次世界大戦の前に、これほどおしゃれなデザインの警務員室が建てられたのは、ちょっと驚きです。
今回ロケ地となったのは、講堂と旧千曲会館です。
旧千曲会館は上田市の指定文化財です。前身となった上田蚕糸専門学校の卒業生の皆さんが、同窓会の会館として1935年に建てました。
正面は洋風な趣ですが、建物の裏側は純和風です。
「シンペイ~歌こそすべて~」のなかでは、2か所の設定で登場します。
建物に入ってすぐの、左側の洋風の部屋では晋平の妻・敏子(志田未来)が「病院の診察室」にいるシーンが撮影されました。
隣に位置する和室は、その敏子と暮らし始める晋平(中村橋之助)の長屋、という設定で使われました。
隣り合った2つの部屋が、別の建物としてスクリーンに登場します。
講堂は、松井須磨子の公演が行われる「帝国劇場」の入場口として撮影されました。(帝国劇場のステージ上のシーンは、岐阜県で撮影されたそうです。)
講堂に入場する手前で上を見上げますと、天井に美しい蛾の意匠が施されています。これがなんと換気口で、天井の6か所にあります。
講堂の外観は、三角の張り出し窓や時計回りが目を引きます。これは大正期に流行したセセッション・スタイルです。アールヌーヴォーが曲線的であるのに対して直線的で、機能性や合理性を重視した様式です。
こちらの講堂は、これまで多くの映画やドラマのロケ地になってきました。
なかでも2009年公開の映画「ゼロの焦点」は、日本アカデミー賞で優秀賞11部門に輝いた名作です。
ヒロイン役の広末涼子が、社長夫人を演じた中谷美紀を追い詰めるクライマックス・シーンは、この講堂で撮影されました。
同じ2009年から足掛け3年にわたって放送された、NHKのスペシャル・ドラマ「坂の上の雲」でもロケ地となりました。
またキャンパス内の資料館には2016年、上皇・上皇后両陛下が見学に訪れました。ご覧のようなレンガの倉庫で、もともとは繭の保管庫として使われていました。
このような歴史の重みを感じるキャンパスで、現在は最先端のファイバー工学が研究されています。