卵の風味がこっくり濃厚な「伊織のもみじ」卵黄際立つしっとり食感の桃山で、黄身餡の魅力を知る
秋の和菓子といいますと、栗に柿、さつまいもやかぼちゃといった温かな色合いの旬の味覚を使用した季節限定の商品がショーケースを彩るようにズラリ。お饅頭に大福、上生菓子、羊羹、きんつば…想像しただけでほっこり。
もうひとつ、秋といえば欠かせないものが「紅葉」。山々が赤く色づき、気温は下降しても不思議と気分は高揚しますよね。(紅葉、高揚…ふふふ。)
ロール状の限定どら焼きでもおなじみ、創業1716年の老舗和菓子屋「笹屋伊織」さんには、色づき始めた山々より一足先に、紅葉を楽しむことができるお菓子が。今回は笹屋伊織さんの「伊織のもみじ」をご紹介。
上部が紐で括られたパッケージからは、上品な遊び心を感じられます。紐の部分をちょんとつまんで、自然をバックに写真を撮りたくなってしまいますね。きちんと密封されておりますので、登山のおやつなんかにもぴったり。
手の平にはらりと落ちてきた楓の葉のような橙色の和菓子は桃山製。レシピはお店ごとにも異なるのですが、白餡に卵黄を加え、そこに寒梅粉やみじん粉(糯米を蒸しあげてから乾燥、挽いたものがみじん粉。色づかない程度に煎ってから挽いたものが寒梅粉)をあわせて生地にし、白餡を包んで軽く焼き上げたものが桃山と言われます。
一見すると、バターな練乳などの香りが立ち昇る焼き饅頭を想像するかたもいらっしゃるかと思いますが、乳製品は使用されておりません。
濃厚かつ上品な卵黄のコクがたっぷりの黄身餡を仄かに色付けした生地で、あっさりとした味わいの白餡を包んで軽く焼き上げたもの。それぞれの味がお互いを引き立て合っているので、黄身餡とはどんなもの?というまだなじみのない方にも入門編として知ってもらうのもおすすめなお菓子。
非常にしっとりとしていて口溶けもよく、世代問わず食べやすいと思います。手にべたつかないのもとってもうれしいですね!こっくりとした素朴な濃ゆい味は、濃いめの紅茶や珈琲にもよく合います。
指先でそっとつまめる美味しい紅葉。
紅葉を食む(はむ)。ロマンチックな響きだと思いませんか?