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緊急報告「ガザが危ない!」 ―新型コロナ患者が急増―

土井敏邦ジャーナリスト
ガザでコロナウイルスが蔓延している。患者数が1000人を超えた(撮影・ガザ住民)

「ガザが危ない!」

―新型コロナ患者が急増―

 「ガザ地区(注・人口約200万人)の患者数が1000人を超えました。死者も10人に達しています」

 9月7日、パレスチナ・ガザ地区の友人Mから緊急のメールが届いた。

 「この2週間、ガザは、厳重な外出禁止令下にあります。さらに五つの行政区に分離されています。道路は警察に封鎖され、移動を制限するために砂袋で塞がれています。とりわけジャバリア難民キャンプ(ガザ市の北部)やビーチ難民キャンプ(ガザ市内の西部)が患者数の大半を占めています。人が密集しているからです。

 心臓病や腎臓病など慢性の病気を抱える患者たちは、病院で治療を受ける場所がなくて苦しんでいます。病院はコロナ患者でいっぱいだからです。

 食料も不足し値段も急騰しています。例えば、卵は1カートンが8シェケル(約240円)だったのですが、14シェケルに跳ね上がりました。

 窃盗などの犯罪も急増しています。自殺数も急増も報告されています。

 自治政府(ヨルダン川西岸の政府)がガザに5人の閣僚を送り、医療物資を届けました。ガザのハマス政府はこの状況をコントロールできず、エジプト政府に支援を要請しました」

 イスラエルによって封鎖され、約200万人の住民が東京23区の6割ほどの狭い地域に押し込められているガザ。世界で最も人口密度の高い地域の一つであるこの地区で、コロナウイルスがさらに蔓延したら、住民は逃げ場がない。しかも長期の“経済封鎖”で住民は貧困に苦しみ、医療現場は医療物資の不足に苦しんでいる。

 世界のメディアが欧米、日本など先進諸国のコロナウイルスの状況ばかり注目するなか、世界から見放されたガザは、いま絶望的な危機に直面している。

(撮影・ガザ住民/以下同様)
(撮影・ガザ住民/以下同様)
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(最新のデータ)

ジャーナリスト

1953年、佐賀県生まれ。1985年より30数年、断続的にパレスチナ・イスラエルの現地取材。2009年4月、ドキュメンタリー映像シリーズ『届かぬ声―パレスチナ・占領と生きる人びと』全4部作を完成、その4部の『沈黙を破る』は、2009年11月、第9回石橋湛山記念・早稲田ジャーナリズム大賞。2016年に『ガザに生きる』(全5部作)で大同生命地域研究特別賞を受賞。主な書著に『アメリカのユダヤ人』(岩波新書)、『「和平合意」とパレスチナ』(朝日選書)、『パレスチナの声、イスラエルの声』『沈黙を破る』(以上、岩波書店)など多数。

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