Yahoo!ニュース

お金とのつきあい方が変わる? 還付金の賢い3つの使い方

山崎俊輔フィナンシャル・ウィズダム代表/お金と幸せについて考えるFP
12月にもらえる還付金、賢く使う方法が3つあります。(ペイレスイメージズ/アフロ)

還付金は払いすぎの所得税の精算でしかないが、気分的にはうれしい臨時収入

会社員にとって、12月はボーナスと還付金のシーズンです。年末年始、ボーナスをあてにして消費の予定を立てている人もいるでしょう。

しかし還付金がちょっともらえることについてどれだけ自覚しているでしょうか。年末調整のお知らせが届いたので、家族の扶養状況を記入し生命保険料の支払い証明やiDeCo(個人型確定拠出年金)の納付証明を提出した人も多いと思いますが、実はこれで今年の所得税の精算が行われるようになっています。

毎月の給与から引かれる所得税は実は概算で引いています。基本的には「ちょっと多め」に引くしくみで、これを12月に確定させて、払いすぎを戻してくれるのが還付金というわけです。

理屈としては「払いすぎ分の回収」なので損得はゼロですが、気持ち的には給与やボーナスと異なる「ちょっとした臨時収入」の気持ちになるのが還付金の面白いところです。

そこで今回は還付金を有効活用する3つのパターンを紹介してみたいと思います。今までやってなかったお金の使い方をすれば、もしかすると人生がちょっと変化するかもしれません。

使い方1)給与振込口座で定期預金にしてみる

もしも今年、あなたが残高不足でクレジットカードの引き落としミスをやったことがあれば、還付金を給与振込口座等で定期預金にしてみましょう。最近ではATMから定期預金を設定することもできます。

なぜ定期預金か、というと定期預金を持っている人は、残高不足になったとき、自動的に定期預金からマイナスを補ってくれる仕組みがあり、引き落としミスがなくなるからです。

仮に定期預金が3万円あれば、90%までマイナスになるまでは引き落としをしてくれるので、3000円くらい残高が足りなかったようなときも-3000円と記帳され、クレカなどの引き落としは成立します。

この仕組みを当座貸越といいます。総合預金口座、簡単にいえば通帳一冊に普通預金と定期預金のページがある普通の口座を作るだけでほとんどの銀行では自動的にセットされます。

(マイナスになっている分については預金の利息はつかず若干の利息が引かれますがそれでも引き落としミスよりはいいことです)。

(当座貸越はほとんどの銀行で取り扱っていますが、みずほ銀行のページはこちら  )

還付金の数万円を定期預金にする、たったそれだけでクレカのブラックリストに乗る心配、引き落としミスで後から振込をする面倒から解放されることになるでしょう。

使い方2)投資初体験の軍資金にしてみる

2つめのアイデアは「投資初体験」です。私たちは投資をするために軍資金が必要だと考えます。まとまったお金がないので投資に興味があっても投資デビューしないという人が多いので、還付金をその軍資金にしてみようというわけです。

「数万円でもいいの?」と思った人は、実は最近の投資コストが下がっていることを知らないのではないでしょうか。実は個別企業の株式でも580社くらいが5万円で買えるようになっています(執筆時点)。売買手数料も数百円なので大きな負担ではありません。

投資信託という仕組みを活用するとさらに投資スタート費用は下げられます。実は元手はゼロ、毎月100円から世界中に投資をすることができるのです(国内外に分散投資するバランス型ファンドを選ぶ)。

投資初心者ほど値上がり可能性に目がくらみますが、値下がり時に焦らなくてすむくらいの金額で始めるのが一番です。むしろ還付金くらいが投資デビュー資金にはいいと思います。

ネット証券なら、スマホから免許証やマイナンバーのカードを撮影して送信するだけで初期設定は完結します。投資スタートがハードルとしては一番大きいので、ここで勢いで口座開設してみてはどうでしょうか。

Yahoo!ファイナンス 証券会社選びのページはこちら

使い方3)まとまった金額の寄付をしてみる

最後の使い道は「寄付」です。寄付といっても還付金を全部使ってみようというわけですから数千円~数万円の寄付ということになります。

小銭のコインしか寄付したことがなかった人にとっては驚きかもしれませんが、実は大金の寄付をするとキャッシュバックがあります。寄付金控除という仕組みがそれです。

確定申告(といっても国税庁のホームページで指示に従い入力すれば書類は自動作成されます)をすると「(寄付金額-2000円)×40%」分の所得税が軽くなり(税額控除の場合)、国から還付されるのです。

ただし、公的に活動が認められている団体への寄付に限られます(といっても活動が有名なNPOや公益社団法人などは多くが対象です)。団体のホームページをみれば、寄付金控除の対象かどうか書かれていますから確認してから振込をしてください。確定申告の手続き案内等も各団体のホームページで解説されていることが多いようです。

還付金でお金のつきあい方をちょっと変えてみよう

定期預金を組んでクレカの引き落としミスから卒業する、数万円で資産運用デビューしてみる、世の中にためになる寄付をしてみる、いずれも「お金がないから」と言い訳をして先延ばししがちなテーマです。

ボーナスとは別に、また毎月の給与とは別にもらうことになる12月の還付金、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。

お金とのつきあい方が一歩ステップアップするきっかけになるかもしれませんよ。

フィナンシャル・ウィズダム代表/お金と幸せについて考えるFP

フィナンシャル・ウィズダム代表。お金と幸せについてまじめに考えるファイナンシャル・プランナー。「お金の知恵」を持つことが個人を守る力になると考え、投資教育家/年金教育家として執筆・講演を行っている。日経新聞電子版にて「人生を変えるマネーハック」を好評連載中のほかPRESIDENTオンライン、東洋経済オンラインなどWEB連載は14本。近著に「『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」「共働き夫婦お金の教科書」がある。Youtube「シャープなこんにゃくチャンネル」 https://www.youtube.com/@FPyam

山崎俊輔の最近の記事