飲まず食わずの6日間 オーストラリアの無人島に流れ着いた11人無事救助
命からがらたどり着いた無人島で、飲まず食わずの6日間。海上でサイクロン「イルサ」に遭遇したインドネシア人11人が、17日(月)無事救助されました。
今月12日(水)、インドネシアを出発した2隻の木製の船が、サイクロン「イルサ」の巨大波に襲われました。
うち1隻は沈没、もう1隻はベッドウェル島という砂の小島に漂着しました。
その翌日には、沈没した船に乗っていた1人の男性が同じ島に流れ着きました。彼は、プラスチック製のタンクにつかまって30時間海を漂っていたそうです。
11人は島に上がったものの、食糧も飲み水もない状態が続きました。しかしその6日後、幸運が訪れます。17日(月)に国境警備に当たっていたオーストラリアのパトロール機が偶然彼らを発見し、救助するに至ったのです。11人は相当のどが渇いていたため、助けられるや否や、20本もの水のボトルを飲み干したそうです。
イルサとは…
漁船が遭遇した「イルサ(Ilsa)」とは、どのようなサイクロンだったのでしょう。
イルサは13日(木)にオーストラリア北西部に上陸し、記録的な暴風をもたらしました。
観測された最大風速(10分平均)の61メートルは、オーストラリアの国内記録となる可能性も出ています。また11人が取り残されていた無人島の近くでは、13日(木)に65メートルの突風が観測されましたから、凄まじい強風が吹き荒れていたことが分かります。
こうして助けられた11人とは裏腹に、残念なことに沈没船に乗っていた残り9人、そして別の2隻の漁船の乗組員もいまだ行方不明となっています。
本物のキャスト・アウェイ
無人島にたどり着き、救助されるというストーリーは、2000年に上映されたヒット映画『キャスト・アウェイ』を彷彿とさせます。この映画は、航空機が墜落し、トム=ハンクス氏演じる主人公が無人島に流れ着き、帰還するまでの4年間を描いたものです。
こんな風に、島に流れ着いて生還したという例は少なくありません。1965年には、手漕ぎボートでトンガから冒険に出かけた10代の6人の男子生徒が嵐に遭い、たどり着いた無人島で15か月間過ごし、無事救助されています。
また2012年にはメキシコ人男性が乗った漁船が嵐に遭い、操縦不能になった船の上で438日間過ごし、助けられたという話もあるのです。
彼は魚を釣って食べ、海鳥の血を飲んで、命を繋いだそうです。すべてが貴重な食糧だったため、鳥の羽すら食べたそうですが、胃の中身だけは、プラスチックとゴミにまみれ、食べられなかったと証言しています。