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自然災害は今起きても不思議はない、自分と家族を守るためにやっておきたいこと

加藤智二日本山岳ガイド協会認定山岳ガイド・カメラマン
1707年に噴火した富士山と愛鷹山塊。手前は芦ノ湖。※写真はすべて筆者が撮影 

 人の動きが制限されることで、こんなにも経済的精神的に落ち込むのは今まで経験したことがありません。こんな環境で「コロナウイルス」さえなければ、その一念に考えを集中するのはあまり良いことではありません。それはなぜでしょうか?

 今地震が起きたら?と考えたことはありますか。リスクは新型コロナウイルスだけでないことにも気を配りたいものです。

 現在は自粛状況ということで、ゴールデンウィークは家の中の整理整頓をした人も多かったと思います。改めて防災減災の確認ポイントを復習して、まずは自分と家族を守ってほしいと思います。

 1:地震に備えて、たんす本棚などの転倒防止対策はできましたか。

 阪神大震災の時、倒れた家財道具の下敷きになったり、避難通路がふさがり、ドアが開かなくなるなどして倒壊家屋から避難ができないこともありました。まずは最初の段階で生き残る可能性を高めておきましょう。

1995年阪神淡路大震災、座屈したフロアのマンション。多くの犠牲はありましたが耐震基準が強化され、現在の住居は安全性が強化されました。
1995年阪神淡路大震災、座屈したフロアのマンション。多くの犠牲はありましたが耐震基準が強化され、現在の住居は安全性が強化されました。

 2:3日分程度の食料と水の「ローリングストック」できるよう、備蓄の見える化はできましたか。

 最近はスーパー・コンビニを冷蔵庫代わりに近い利用の仕方が多くなりました。日常生活に特異な事件やイベントが発生すると特定商品が欠品するのは、この新型コロナウイルス災禍で経験済みのことでしょう。日持ちのする米や乾麺類の炭水化物、ニンジン・ジャガイモ・玉ねぎなど根菜類、調味料類を中心に3日分を目途に少しづつ積み増しし、製造日の古いものから使っていく習慣を身に付けましょう。食品ロスを防ぎつつ、災害時の自助能力を向上させることは公共の援助能力を消耗を抑えることにつながります。合わせて、鍋料理でよく使うカセットコンロとカートリッジの確認もしておきましょう。サランラップ(商品名)などをお皿に被せるなどすれば水を節約できます。

参考記事:山歩きが災害の備えに!? 新年から始めたい生存力を高める7つのポイント

 3:避難するときに使う家族人数分のリュックサック、丈夫なハイキングブーツはありますか。

 成人であれば40L以上のリュックサックが一家に一つあると良いでしょう。体格の小さい女性や未成年の家族も最低限の自分を守る物を入れられる20L程度を家族人数分あると良いでしょう。サンダルや紳士靴ではなく、ガレキなどから足を守ることができる紐でしっかりと締めることができるハイキングブーツが望ましいです。

ハイキングも足元がしっかりしていると安心です。履きなれておくことが大切です。
ハイキングも足元がしっかりしていると安心です。履きなれておくことが大切です。

参考記事:「あって助かった」災害時に自分と家族を守る7つのアウトドアグッズ

 4:生き続けるために必要な衣食住、住環境は長引く避難生活には重要です。登山で使っているテント、マットレス、寝袋はプライベート空間確保、十分な睡眠確保にとても役立ちます。避難先になるかもしれない施設までの避難経路を家族で確認もしておきましょう。

 今年、家族キャンプにトライすれば、楽しみながら防災レベルを向上させることができるので一石二鳥です。

小さなプライベート空間の寝袋(シュラフ)
小さなプライベート空間の寝袋(シュラフ)
収納すればリュックサックに入れて運べます。
収納すればリュックサックに入れて運べます。

 もう1点、食べれば排泄、つまりトイレです。電力と水供給が止まると水洗トイレは使うことができません。衛生環境の悪化は感染症の危険が高まります。

携帯トイレの一例
携帯トイレの一例

 5:洗濯もいつもの様に行えません。抗菌防臭加工のある速乾性がある服が一人2着あれば便利です。各種衛生用品の用意をお忘れなく。大きさの異なるジップロック(商品名)などは1:衣類の圧縮、2:食品の保存、3:少量の水で洗濯などに使えて便利です。

衣類は圧縮してコンパクトにパッキングできます。
衣類は圧縮してコンパクトにパッキングできます。
洗剤を溶かした水を入れ、下着類をシャカシャカ手もみで洗えます。
洗剤を溶かした水を入れ、下着類をシャカシャカ手もみで洗えます。

 身の回り品の最低限の持ち出しセットを用意できていますか。

 今回は5つのポイントをご紹介しました。通信手段確保のためのバッテリー確保などまだほかにもあります。自助と共助を合言葉に地域コミュニティを強くしていければと願っています。

 完璧を目指すのではなく、用意して仕舞い込むのではなく、日常で活用しながら、楽しみながら防災減災能力を高めていきましょう。

 

 最後に過去の自然災害事例を下記にいくつかあげました。どんなに文明が発達しても決してコントールできないのが地震・津波と火山噴火ということを忘れないようにしたいものです。

 地震は日本全国頻繁に起きますが、注意すべき大地震に関する情報 ⇒ こちら

 活火山に関しては気象庁が定める111の火山に関する情報源は ⇒ こちら

 

 ★主な大地震  2011年東日本大震災、1995年阪神淡路大震災、1923年関東大震災、1891年濃尾地震、1707年宝永地震 ~869年貞観地震など

 ★主な噴火  2014年御嶽山、1991年雲仙普賢岳、1926年十勝岳、1914年桜島、1888年磐梯山、1783年浅間山、1707年富士山宝永噴火~864年富士山貞観噴火など

 ★巨大破局的噴火:7300年前喜界カルデラ噴火、3万年前姶良カルデラ噴火、7.5万年前トバ噴火、9万年前阿蘇カルデラ4噴火、18万年前?箱根火山、64万年前イエローストーン噴火、175万年前?穂高 

1991年に大火砕流災害を起こした雲仙普賢岳(2019年撮影)
1991年に大火砕流災害を起こした雲仙普賢岳(2019年撮影)

火山噴火では、どのような災害がおきるのか

出典:首相官邸

 

日本山岳ガイド協会認定山岳ガイド・カメラマン

ネパール・パキスタン・中国の8000m級ヒマラヤ登山を経験。40年間の登山活動で得た登山技術、自然環境知識を基に山岳ガイドとして活動中。ガイド協会発行「講座登山基礎」、幻冬舎「日本百低山 日本山岳ガイド編」の共同執筆。阪急交通社「たびコト塾(山と自然を学ぶ)」、野村證券「誰でもできる健康山歩き」セミナー講師。山岳・山歩きに関するテレビ番組への出演・取材協力。頂上を目指さない脳活ハイキングの実践。神戸市須磨区カルチャー教室講師、一般社団法人日本山岳レスキュー協会社員、公益社団法人日本山岳ガイド協会 安全対策委員会・登山ガイド育成学校委員会 担当理事、日本プロガイド協会所属 山岳ガイドステージⅡ。

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