創業60年の歴史と伝統を誇る名店であると同時に〈常に時代の先をゆく〉変化を恐れない博多ラーメンの凄み
2024年の今年、創業60年を迎えた〈博多だるま〉は、2000年に福岡県福岡市東区箱崎にあった初代「だるま」を二代目が受け継ぎ、同中央区の「渡辺通」に移転。現在の〈博多だるま総本店〉を開業した。初代独自の麺の製法やスープの炊き方、エモーショナルな想いを引き継ぎながら、その伝統を守るだけでなく、その時代時代に合わせた麺やスープの素材などを一新することで、新たな〈博多だるま〉を表現する。そんなリアルな視点とセンスで、今現在の福岡のラーメンシーンをリードする絶妙なバランス感覚が印象的なお店だ。
2年半ほど前に総本店の味を一新
一般的に想像される今の博多ラーメンのイメージとは一線を画し「昔の味に戻す」という「レストア」という手法で、一歩先をゆく時代の流れを読み取り、今の成功へと導く決断を2年半ほど前に決断。それが今の〈博多だるま総本店〉の「味」であり、ほかの「だるま」とも違い、ここだけの味に仕上がっている。現在の豚骨スープは、丼碗のギリギリいっぱいまでナミナミと注がれ、さらに泡立つ上澄みが表面を覆う至極の一杯に。味わいも、濃密で厚みのある旨みと香りを感じながらも、キリリとした塩味が効き、口当たりもサラリとした印象になっている。チャーシューの部位やネギの種類も変更。味付けされた煮玉子も無くなり、すべて「月見（卵黄）」に変更されている。
昔ながらのラーメンの復刻。月見（卵黄乗せ）やスープの表面の泡立ち、ナミナミと丼碗に注がれた一杯などのそれぞれの特徴や要素が、一部の人々に注目されつつあった中、その構成要素を絶妙なバランス感覚とタイミングで、いち早く一つのパズルとしてこの一杯を完成させてしまっているという事実に、2年半ほど前の当時、とても驚きを隠せなかったことを今も覚えている。レストアという「核」になる発想や想いとともに、新しい試みも同時に取り入れていく。一歩先をゆく先見性のある視点で、リアルに福岡のラーメンシーンをリードしてきたのが〈博多だるま総本店〉だ。
福岡市中央区渡辺通の「春吉公園前」の交差点にある〈博多だるま総本店〉。お昼や夜のピークタイムには観光客だけでなく地元の人々も訪れ、長蛇の列ができることも多くある。そのため自身では、基本的にはその時間を外し夕方の時間に好んで訪問することが多い。
雲海に浮かぶ満月のような月見ラーメン
この日も無性に「だるま」が食べたくなり、通し営業の夕方遅めの時間帯に訪問。入って右手にある券売機での選択は「月見ラーメン」を発券。スタッフさんに食券を手渡し麺の硬さは「カタ」で注文。店内を眺めると先客は多いものの空席もチラホラで、さらに空いていたら必ず座らせてもらう一番奥のテーブル席も空いていたのでそちらへ着席。
待つことしばし。丼碗にナミナミと入ったスープを溢さないようにゆっくりと配膳された「月見ラーメン」は、表面を泡立つ上澄がキレイに覆う。そこに月見（卵黄）が、まるで雲海に浮かぶ「満月」のような見た目になっている印象的な一杯。
表面を覆う上澄みとともにスープを一口啜るといつも以上にベタ感が強めな印象。さらに熱々ナミナミの雲海スープは、濃厚であるのは間違いないものの塩味がキリリと効き、口当たりも良いのでとても飲みやすい。
自家製の極細ストレート麺を持ち上げると泡立つ上澄みとスープがよく絡んできて美味しくいただける。さらに「月見（卵黄）」と塩味の効いたスープの相性が抜群で、レンゲに月見を乗せながらその中で溶き、さらに麺とスープを絡めながらいただくと至福のひと時が訪れる。
福岡へのご旅行やご出張の際は〈博多だるま総本店〉だけの美味しい一杯を、ぜひご堪能ください。また、食べたことが無いので確実なことは言えませんが、東京の港区台場の「アクアシティお台場」にある「三代目 博多だるま」が、どうやら見た目の雰囲気や味わいも「総本店」に近そうなのでお近くの方はぜひお試しください。
博多だるま総本店
住所 ：福岡県福岡市中央区渡辺通1-8-25［地図］
営業時間：11時30分～00時00分（※要確認）
定休日 ：なし
駐車場 ：専用駐車場なし、近隣に有料駐車場あり
