【介護福祉士が教える】認知症高齢者の行方不明を防ぐには?環境整備と心のサポート、物心両面のケアが大事
↓YouTubeでは、音声付きのマンガを見られます。
ケアマネージャーのもとに、一本の電話がありました。
認知症の旦那さんが、自宅からいなくなったという連絡でした。
奥さんは、自宅周辺を探しましたが見つからず…困りきって、ケアマネに連絡したそうです。
警察にも捜索を依頼し、数時間後に旦那さんを発見!
…が、しかし!
旦那さんが見つかった場所は…
なんと、自宅から約10kmも離れた場所だったのです。
数時間の間に、どんどん歩き続けていたのでした。
自分がどこに向かっているのかすら、分からない状況になっていたのかもしれません。
分からない…、だから、どんどん進む。
進んだ先に、自分の行きたい場所があると信じているのかもしれません。
けれど、歩き続けることで、事故に遭う危険も増していきます。
真夏だったら、熱中症のリスクも!
そんな認知症の人の行方不明を防ぐには、どうしたらいいのでしょうか。
認知症の人は家の中で、食べ物やトイレの場所を探しているうちに、どこへ行けばいいのか分からなくなって、結果的に外に出てしまうことがあります。
玄関ドアに『出かける時には、声をかけてね』など、貼り紙を貼っておくのもいいでしょう。
もし外に出ようとしても、センサーで作動するライトやチャイムがあると、家族はすぐに対応できます。これは防犯対策にもなりますね。
一人で道に迷うリスクはあるものの、せっかくの外出意欲をなくしたくないと考える方には、パソコンやスマホで居場所を追跡できるGPS装置を利用する方法があります。
普段から常にGPS装置を持ち歩くことは、認知症の人には難しいかもしれませんが、GPS内蔵の靴なら、玄関にその靴を置いておくだけでいいので便利ですね。
また、誰かに見つけてもらう可能性も考えて…
上着などに記名をしておくことも有効です。プライバシーとの兼ね合いもありますが、認知症で、自分の名前や住所、電話番号が言えない方もいらっしゃいます。
念には念を、人それぞれの状態に合わせて、いろんな対策を組み合わせて準備するのがおすすめです。
そして、余裕があるときに…
一緒に歩いてみるのも、いいかもしれません。
どこに行きたいのかな…
歩きながら、その人の考えや気持ちなどを聞いているうちに、どこに行こうとしているのか、ヒントが得られるかもしれませんよ。
「このあたりに、わしの家があるはずなんやけどなぁ」
「そうなんですか」「少し休んでから、また一緒に探してみませんか?」
と、さりげなく帰宅を促してみましょう。
そして、ふだんから何気なく、生まれたところや育った場所、学生時代や仕事の話など、昔のことをいろいろと聞いてみるといいですね。
知らなかった一面を、知ることができるかもしれません。
また、昔の写真を飾ることで、視覚的にも、家にいながら思い出に触れることができます。
こんなときがあったなと、懐かしい気持ちになりますね。
わざわざ外に、思い出探しに行かなくても、部屋に思い出があることで安心できます。
昔のこと、最近のこと・・・どんなことでも、時間に余裕があるときには、家族の会話の時間をもてるといいですね。
楽しい会話を通して、自宅での安心感や、温かい居心地を感じてもらえるようになると、遠い場所まで、ひとりで歩いていくことが、減っていく場合も多いようです。
語り合い、お互いの気持ちに寄り添うことで、一人で遠くに歩いて行ってしまう思いの根っこに近づけるかもしれません。
「遠くに行くよりも、ここにいたいな」
そんな気持ちを、少しずつ育てていけるといいですね。