甘くてほろ苦いまさに恋?「くるみの初恋」儚いメレンゲと信濃胡桃が美味しく出会ったお菓子です
あっという間に秋が深まってきた今日この頃。お気に入りのマグカップたちの活躍の機会も増え、温かい飲み物がより一層美味しく感じられるようになりました。紅茶や珈琲だけで楽しむことは勿論ですが、甘いお供も欲しくなること、ありますよね?
長野県東御市に本店を構える「御菓子処花岡」さん。大正元年に産声をあげたお店はお煎餅を製造。地元の方々のみならず商いのために街を訪れた方々が肩の荷を下ろすお茶処、そしてお土産としても人気に。戦時中もお菓子を作る手を休めることなく、限られた材料を駆使し飴などを作っていたそうです。
更に、花岡さんが本店を構える長野県東御市は紆余曲折を経ながら現在に至るまで改良を重ねてきた技術もあり「信濃くるみ」と呼ばれるほど胡桃の名産地となっております。花岡さんの歴史と共に歩んできた東御市の胡桃を使用した和洋様々なお菓子の中から、今回は軽やかでシンプルな素材の味わいが際立つ「くるみの初恋」をご紹介。
今日では彩り豊かな洋菓子のメレンゲ菓子もございますが、花岡さんのくるみの初恋はシンプルな生成りの色合い。そのシンプルな色合いとややごつごつとした形状の中に垣間見えるのは、これまた大胆な胡桃の姿。ダイス上のナッツが上にトッピングされていたり、はたまた生地の中に混ぜ込まれているメレンゲ菓子には出会ったことがありますが、これほどまでに大胆な胡桃にはお会いしたことがないような気がします。
ひとつ口の中に入れてみれば、想像以上に淡く優しく、なによりマイルドなメレンゲに驚き。カリン、という軽やかな衝撃のあとに溶けていくかと思いきや、歯ごたえのある胡桃へと到達し、咀嚼するごとに甘美なメレンゲを胡桃が纏っていくように口の中で混ざり合っていきます。甘味、香ばしさ、ほろ苦さの三位一体の旨味に手が止まらなくなるほど。
第一印象はとっつきにくいけれど、いざ知り合ってみたら表情豊かで優しい人だった…そんな印象の味わいに思わず思い出し笑みが。
ビターな珈琲が染みるようであれば甘いメレンゲが、甘くまろやかなカフェラテにはふとほろ苦い影を差す胡桃が、それぞれが甘くてふわふわして、それでいてほろ苦いような。口にするたびに「初恋」を連想させてくれるようなくるみの初恋は、まさに人肌恋しくなるようなこの季節にぴったりなお菓子かと思うのです。