ノルウェーのフィヨルドを守れ!歴史的訴訟が始まる
フィヨルド公共訴訟が9月18日(月)、ノルウェーのオスロ地方裁判所で始まる。ノルウェー南西部には、最も手つかずの自然が残るフィヨルドのひとつである「フォルデ・フィヨルド」がある。探鉱会社ノルディック・マイニングは、ここに2億5000万トンの鉱山廃棄物を投棄する許可をノルウェー政府から得た。地球規模での環境問題に取り組む国際環境NGO「地球の友」(Friends of the Earth)、ノルウェー「自然保護団体」(Naturvernforbundet)とノルウェー「自然と青年団体」(Natur og Ungdom)は、この許可をめぐってノルウェー政府を提訴。裁判は10月3日まで続く。
2015年、ノルディック・マイニング社は最大2億5,000万トンの鉱山廃棄物をフォルデ・フィヨルドに堆積する許可を得た。これは毎年400万トンの鉱滓(スラグとも呼ばれる鉱物成分などを含む物質)が海に投棄されることを意味する。2021年、鉱山会社は、フィヨルドにSIBXという物質を放出する許可も得た。水生生物に強い毒性を持つ物質で、フィヨルドでこの物質がどのように分解されるかはほとんど分かっていない。同社は2020年に操業許可を取得。
鉱山廃棄物の投棄は、公害防止法とEUの鉱物廃棄物指令に違反していると環境団体らは考えている。ノルディック・マイニング社は、スンフィヨルド自治体のエグネブ山で露天掘り鉱山を操業する予定。塗料、化粧品、歯磨き粉、紙などに使用される白い着色料である二酸化チタンの生産に使用できる鉱物ルチルを採掘するためだ。
鉱山廃棄物には、細かく砕かれた大量の岩石、環境有害物質、マイクロプラスチック、SIBXなどの化学物質が含まれる。廃棄物が海底に堆積すれば、フィヨルドの生物に大きな影響を与えると心配されているのだ。
ノルウェーでこのようなフィヨルド訴訟は国内初となり、もし勝訴すれば、今後の環境訴訟にも大きな影響を及ぼすことになる。
訴訟のためのキックオフが首都オスロで開かれ、会場には支援する市民らが集まった。
Text: Asaki Abumi