お土産を運んでくれるディズニーの「ロボット・シェルパ」特許について
以前書いたドローンによるライトショーの基本特許など、意外な特許化を行っているディズニーですが、ロボット・シェルパ(移動式ロッカー)の特許を取得したことがわかりました(参照記事「謎のロボット、ディズニーが特許取得 お土産を持ち歩く必要がなくなる?」)。
特許番号は、US11360471 、発明の名称は(そのまんまの)”Robotic sherpa”、登録日はつい先日の2022年6月24日、出願日は2019年4月19日です。米国以外での出願は確認されていません。
タイトル画像の(やたらおしゃれな)特許図面からもわかるように、人間に付いて回り荷物を運んでくれるロボットそのもののアイデアです。テーマパークで大量のお土産物を運んだり、ショッピングセンターで大量の買い物をするシナリオでは便利そうです。今すぐに実用化というわけではなさそうですが、ドローンライトショーのケースでもわかるように、この種のアイデアはあっという間に実用化されることもあるので先んじて特許化しておくことは重要です。ディズニーの場合、別に、ドローンやロボットを製造しているわけではないのですが、メーカー目線ではなく、お客様目線でこういうことができたら便利(楽しい)という所から特許戦略を進めているであろう点は参考になります。
さて、冒頭の記事でも述べられているように、この種のロボット、今までにも結構あったように思えるので、新規性・進歩性の問題をどうクリアーしたかが気になるところですが、驚くほど広範囲で権利化できています。先に触れたディズニーのドローン・ライトショーの特許を回避してドローン・ライトショーを実施することがきわめて困難なほど広範囲なのと同様に、この特許を回避して機能面の犠牲なしに移動式ロッカーを実現するのは困難なように思えます。配膳や物を持ってきてくれるロボットの事例は数多いと思いますが、移動式ロッカーとして機能するロボットは意外にも誰も思い付いていなかったのかもしれません。
クレーム1の内容は以下のとおりです。
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