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東京五輪女王が再V 意外なセレブも参加!NYCマラソン50周年記念大会(動画あり)

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
完走したチェルシー・クリントン氏(両親のビル氏とヒラリー氏と共に)。(写真:ロイター/アフロ)

美しく気持ちの良い秋空の下、第50回目となる記念すべき「2021年TCSニューヨークシティマラソン」が11月7日、ニューヨーク市内で開催された。

このマラソン大会は毎年11月の第一日曜日に行われているもので、スタテンアイランドをスタートし、ゴール地点のマンハッタンまで市内5つ、すべての区を走るルートが特徴だ。昨年は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、初の中止を余儀無くされたため、今年は2年ぶりの開催となった。

公式ウェブサイトによると、今年の参加ランナーは世界中から集まった3万3000人の選手だった。また観客は、毎年100万人規模の市民が沿道に集まる。2年ぶりとあり、多くの人が今大会を楽しみにしていたようで、選手に声援を送り鼓舞激励した。

女子勝者は、東京五輪の金メダリスト

今大会の優勝者は、プロ男子の部がAlbert Korir(アルバート・コリル)選手でタイムは2時間08分22秒、プロ女子の部はPeres Jepchirchir(ペレス・ジェプチルチル)選手でタイムは2時間22分39秒と、共にケニア勢が独占した。

ケニアと言えば、今年の東京オリンピックのマラソン競技でも男女共に金メダルを獲得しマラソン強国として知られる。特にジェプチルチル選手は、東京オリンピックで金メダルを獲得しており、今大会で再Vとなった。

車椅子プロ男子はマルセル・ハグ(Marcel Hug)選手、同プロ女子はマディソン・デ・ロザリオ(Madison de Rozario)選手が共に勝利した。

また、ほとんどの観客はその存在に気づかなかったが、ほかにも意外なセレブやプロスポーツ選手も参加した。

ニューヨークタイムズによると、クリントン元大統領の長女のチェルシー・クリントン(Chelsea Clinton)氏(写真上)を始め、プロ女子サッカー、アビー・ワムバック(Abby Wambach)元選手(写真下)、ローレン・ホリデー(Lauren Holiday)元選手、レスリー・オズボーン(Leslie Osborne)元選手、レーシングドライバーのライアン・ブリスコー(Ryan Briscoe)選手、スーパーモデルのクリスティー・ターリントン(Christy Turlington)氏、俳優のケニー・オハラ(Kelli O’Hara)氏ら、数多くの有名人も完走した。

筆者がブルックリン(スタートから15kmの地点)で撮影した動画。

50th Anniversary of NYC Marathon 第50回ニューヨークシティマラソン

ランナーが多過ぎて、1人の有名人も見つけられず...。日本からも富安央選手、山口遥選手、車椅子の渡辺勝選手らが出場したが分からなかった。近くの人は友人でさえ見つけるのに苦労していた。

ほかに今大会では、ある男性ランナーも話題になった。

ラリー・トラックテンバーグ(Larry Trachtenberg)氏は16歳だった1970年9月、同大会の記念すべき初回に参加し完走した55人のうちの1人だ。67歳となった彼は50周年の記念すべき今大会で再チャレンジし、走り切った。

現在西海岸に住んでいるトラックテンバーグさんだが、住み慣れた故郷を幼少期の思い出と共に走り抜け、感慨もひとしおだったようだ。50年前と今大会を比較し、米メディアにこのように語った。「昔はこぢんまりとした静かな大会だったが、今ではすっかり一大ショーになったね」。

今大会の盛り上がりはすっかりコロナ前に元通り、「アフターコロナ」のスポーツ世界大会の様相だった。ニューヨーク州内では前日の6日時点で新規陽性者が未だ1日4600人を超えているが、屋外ということもあり観客の中にマスクをしている人はほとんどいなかった。

仮装姿の人、自国の旗を振っている人、音楽のリズムに乗って楽しそうに踊りながら走っている人、高齢で足を引きずりながら(人によっては杖をつきながら)それでも歩を進め続ける人...。2年ぶりに見たさまざまなランナーの勇姿に、再び元気とエネルギーを与えてもらった。

(Text and some photos by Kasumi Abe) 無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

米国務省外国記者組織所属のジャーナリスト。雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、有名アーティストのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をN.Y.に移す。N.Y.の出版社でシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材。日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。福岡県生まれ

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