記録的高温のイタリア 今度はミラノで竜巻発生
世界のファッションの中心地イタリア・ミラノで、21日(金)竜巻が発生しました。
下がその映像です。垂直に立った雲の渦が高速で回転し、飛来物が宙を漂っています。空には厚い雲がたちこめ、朝11時だというのにまるで夕暮れのようです。
これまでのところ死傷者は伝えられていませんが、市街地にあれほど高くまで浮遊物が舞っている様子を見れば、多数のけが人がいてもおかしくないと思われます。
ミラノの東の地域では10センチを超える雹が降ってきて、110人がけがをしたと伝えられています。
イタリアは欧州の竜巻ホットスポット
イタリアの竜巻は珍しいのでしょうか。
世界一の竜巻大国と言えば、年に陸上だけでも1,200個ほど発生するアメリカですが、ヨーロッパでも300~400個の報告があるようです。
なかでも多いのがギリシャ、そしてイタリアです。2015年と1970年にはイタリア北東部のベネチア周辺で巨大な竜巻が発生していますし、ヨーロッパ史上最強といわれ、時速500キロ近い強風を吹かせたとされる1930年の竜巻もまた、イタリア北部のアルプス山脈の麓で発生しました。
なぜイタリアで竜巻が多いかというと、地中海からの暖かく湿った空気と、北にそびえるアルプス山脈から吹いてくる冷たく乾いた空気がぶつかって雲が発達しやすいことが挙げられます。
しかも今夏、地中海の水温は、とんでもなく高いのです。場所によってはいつもより5度も高い海域もあるほどです。この海からの熱と水蒸気が天候をより不安定にさせています。
ヨーロッパ記録かもしれない雹
19日(水)にもイタリア北東部トレヴィーゾで、幅15センチ超と推定される巨大な雹が落ちてきました。下がその写真です。イガイガがいかにも痛そうです。
ヨーロッパにおける雹の最大記録は15センチですから、これがヨーロッパの新記録となる可能性もあるようです。
高温記録連発のヨーロッパ
暖かい地中海も影響して、今イタリアは「カローン」という名の熱波に見舞われています。ギリシャ神話の中に登場する、魂を冥界に運ぶ渡し守が由来という、なんとも薄気味悪い名の付けられた熱波です。
18日(火)には首都ローマで、観測史上最高となる42.9度が記録されたほか、南のサルディニア島では47.7度と、同島における2番目の高温記録が出ています。
かつては避暑地だったヨーロッパも、世界の平均の倍の速度で温まる今、大きく様変わりしています。
2年前にはヨーロッパ記録の48.8度がイタリア南部で出たほか、昨年は観測史上もっとも暑い夏となって、6万人が暑さで命を落とすなど、夏は一年でもっとも危険な季節になっています。