老舗の和菓子でハロウィンはいかが?「塩瀬総本家」さんのジューシーなぶどう大福と練り切りは秋の色
和菓子の世界も実に多彩になり、上生菓子にも海外の行事が取り入れられるようになりました。クリスマスにはリースやサンタさん、イースターにはうさぎや卵など、それぞれのお店が和洋の文化を見事に落とし込んだ作品は心がうきうきしてきますね。
更に。秋のイベントといえばハロウィン。ジャックオーランタンに蝙蝠、おばけなどのモンスターや妖怪たち。デパ地下など、目から鱗の技法を用いて表現されるお菓子たちについつい目移り。
創業1349年、日本最古の御菓子処といわれている「塩瀬総本家」さん。白磁の肌が印象的な塩瀬饅頭から鮮やかな練り切り、毎日のおやつにもぴったりな豆大福などの和菓子が揃う老舗中の老舗です。本店をはじめとする百貨店の店頭では生菓子が購入できるのですが、このほどハロウィンにぴったりな和菓子を発見。今回は「ハロウィン」と「ぶどう大福」をご紹介。
ぽってりとしたカボチャは、たった今絵本から飛び出してきたようなキュートな佇まい。けれども、側面にはジャックオランタンの不敵な笑みが…。あえてやや硬めに練り上げられた練り切り餡、そして中餡のこし餡には、うっすらと羊羹を纏わせることにより型抜きしやすいように工夫が施されています。直接こし餡を包むのではなく、つるりとした羊羹でワンクッションおくことにより練り切り餡がスムーズにほろりとはがれてくっきりとした表情に。
じんわり染みる優しく慎ましやかな甘味は、濃茶の香りを引き立ててくれそうですね。
もうひとつは、どことなくミステリアスな色合いの「ふどう大福」。求肥とお餅の割合を何度も試作をして考えたという餅皮は、ふっくらとした旨味と強かな歯ごたえながらも舌先に纏わりつくような伸びも持ち合わせています。また、皮ごと食べられるナガノパープルという品種の葡萄がまるごと一粒ごろりと。迸るような果汁、それに引けを取らない程潤いを湛えた白餡は、濃厚ながらも喉を鳴らして飲み込んでしまうような甘露。瑞々しい秋を味わいました。
オレンジ、紫、黒…和のハロウィンを彩る、甘くてちょっぴりユニークなお菓子たちでミステリアスなおやつの時間を♪