「もう無理…」退職代行サービスは現代の救世主?
こんにちは。アクシス株式会社 代表・転職エージェントの末永雄大です。
中途の人材採用支援をしつつ、月60万人以上の読者を持つ「すべらない転職」という転職メディアを運営している中で、Yahoo!ニュースでは2013年から「働き方3.0」というテーマでキャリアや雇用分野について発信させてもらっています。
最近、「退職代行サービス」が注目を集めています。本人に代わって退職の意向を会社に伝えるこのサービスは、SNSで話題となった影響もあり、特に若者の間で需要が高まっています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/cb51204ebd896517c19eb4690d5ac713a472068c
働く人の救世主?
退職代行サービスはその名の通り退職を代行してくれるサービスです。
電話やメールで退職代行業者に連絡をとるだけで、対面で退職の意向を直接会社に赴いて伝える必要がないということが大きな特徴です。
これにより、精神的な負担を避けることが出来るという最も大きなメリットがあります。
直接雇用主や上司に退職の意向を伝えるというのは想像以上にエネルギーを使います。
例えば、パワハラを受けたという経験があったり、ブラック企業で働いており過酷な労働環境にあったりする従業員にとっては、面と向かって伝えることでハラスメントを受けるのではないかと不安になったり、言い出すことに相当な勇気が必要になったりする事があるかもしれません。
そうした対話を第三者である退職代行業者に任せることで、そうしたシチュエーションに置かれることなく職場を離れることが可能となり、精神的負担が大幅に軽減されます。
退職代行サービスを利用すると、最短で即日退職することができます。「もう明日から行きたくない」という願望を実現することができ、長い期間交渉や雇用主との対話に悩まされることがないという点でも精神的負担の軽減につながると言えます。
しかし、リスクやデメリットもいくつか考えられます。
費用が掛かるというのもその一つです。ハラスメント等の苦痛から脱却でき、心身の健康を守るという面や、面倒に感じる手続きなどを任せられるという面から言えば、費用を払ってでも行う価値のあるものかと思いますが、自身で意思を伝える選択肢もあるということを考えるとデメリットとも言えるのではないでしょうか。
また、委託する業者の選び方も重要になってきます。
退職代行サービスは民間企業運営、労働組合運営、弁護士運営の三種類に分けられており、運営元によって対応可能な範囲が異なっています。労働組合と弁護士運営には会社との交渉が認められていますが、民間企業には認められておらず、非弁行為となってしまうことがあります。
有給の取り扱いや未払い賃金などに関する調整や交渉を任せられないかもしれないというリスクもあるため、依頼前に十分に業者の取り扱い範囲を確認する必要があるといえます。
退職代行は定着するのか?
この退職代行の需要の高まりは一時的な流行なのでしょうか。
利用者の増加や認知の拡大にはSNSやメディアによる報道が背景にあると考えられることから、一時的なブームとして捉えられることもできます。
しかし前述のとおり、ハラスメントやブラック企業の過酷な労働を理由に退職代行を利用する人が多いため、こうした問題が解決しない限りはニーズは持続していくと考えられます。
また、現代は昔と変わって終身雇用が主流ではなくなりつつあり、転職へのハードルも下がっていることや、働く中で自身の健康や精神状態を最優先に考えるという意識が広がっていることからも、短期間でストレスなく退職できるというサービスは魅力的なのではないでしょうか。
上記のアンケート結果からも分かるように、若い世代ほど利用を検討していることからも、上記のような働き方や考え方の変化も関係してくるように感じます。
需要の高まりに伴って、サービスの質の向上や多様化も見られることから、今後も労働者にとって重要な役割を果たすものとしてニーズは継続していくのではないでしょうか。
まとめ
退職代行サービスは、多くの労働者にとって救世主となり得る存在ですが、その利用には慎重な判断が求められるものでもあります。また、退職の理由や背景をしっかりと考え、長期的な視点で自分のキャリアを見つめ直すことも大切です。こうしたサービスの利用が、自身の目指すキャリアやライフプランとの両立に役立つものとなるかもしれません。