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成人の日は「五風十雨」で

饒村曜気象予報士
平成28年の成人の日の天気図(右:予想)と前日の天気図(左)

昭和23年に交付・施行の祝日法で制定された成人の日は、小正月であり、奈良時代以降、男の子が成人になる儀式である元服が行われていた1月15日でした。小正月は大正月(元日、または元日から1月7日まで)に対する言葉です。

ハッピイマンデー制度で早まった成人の日

最初の成人の日は、昭和24年(1949)年1月15日(土)で、以降、1月15日に行われてきましたので、すべての曜日で成人の日がありました。

しかし、平成8年(2000年)からハッピイマンデー制度が採用され、「1月の第2月曜日」が成人の日となっています。

2000年は1月10日(月曜日)が成人式でした。

月曜日を国民の祝日とすることで、定着してきた週休二日制の土日の休みと合わせて三連休としたためですが、これにより、成人の日が1月8日から1月14日まで年によって変化することとなり、それまでの1月15日より早くなっています。

そして、いつも月曜日になっています。このため、新成人は、生まれてからの成人式は、水曜、木曜、金曜が各1回、月曜日が17回です。

表 最近10年間の成人式の昼間の天気(東京都千代田区と新潟市)
表 最近10年間の成人式の昼間の天気(東京都千代田区と新潟市)

最近10年間の成人の日の昼間の天気

一般的には、成人式の頃は、西高東低の気圧配置が続き、日本海側の地方では雨か雪、太平洋側の地方では晴れることが多いのですが、年によって天気は変わります。

最近10年間でみても、いろいろな天気の成人式があります(表)。中でも、一番大荒れとなったのは、平成25年の成人の日です。

図 大荒れの成人式となった日の天気図(平成25年1月14日9時、右は前日の9時)
図 大荒れの成人式となった日の天気図(平成25年1月14日9時、右は前日の9時)

平成25年の成人式は大荒れ

平成25年の成人の日の1月14日は、急速に発達した低気圧によって大荒れの天気となり、特に、関東南部では雪で交通機関が大混乱しています(図)。前日にフィリピンのルソン島の東海上にある熱帯低気圧(図ではTDと表記)から、暖かくて湿った空気が流れ込んだために低気圧が急発達したのです。

このときに成人式を迎えた関東から東北の人達は、高校卒業時には卒業式がまともに行われていません。高校卒業直前の3月11日に東日本大震災が起こったからです。このため、成人式の日には例年以上に皆で集まろうという気持ちが強かったと言われていますが、手荒い天気の祝福でした。

「五風十雨」の天気

「五風十雨」という四文字熟語があります。

五日ごとに風が吹き、十日ごとに雨が降るという意味で、世の中が平穏無事であるたとえです。「十風五雨」という四文字熟語もありますが、類義語です。

この言葉のように、晴ればかりの日が続くことは良いことではありません。風の日も雨の日もあり、時には嵐や雪の日があって世の中がなりたっています。

何事も良いことと悪いことがあります。日本は自然災害の多い国であると同時に、自然の恵みの多い国です。

自然災害を防ぎつつ、自然の恵みを享受してゆけば良いと思います。

成人式の天気がどのような天気であっても、新成人の門出を祝福している天気と思います。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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