【台風10号】「最強クラス」台風が上陸!なぜ動き遅い?特別警報が出たらどうすればいい?気象予報士解説
台風10号はさきほど、29日8時に鹿児島県に上陸しました。
南西諸島以外に接近する台風としては過去最強に近い…気象庁の担当者がそう表現するほど強い、台風10号。
動きが非常に遅いために、東海や関東など離れたところも含めて影響が長引く見通しとなっています。
今回、鹿児島には一時、暴風・波浪・高潮の特別警報が発表され(29日10時30分に解除)、今後ほかの県も含めて大雨の特別警報が出る可能性がある中、自分の住む場所に特別警報が出たらどうすればいいのでしょうか。
また、台風の動きが遅い理由や最新の進路予報についても気象予報士が解説します。
台風10号はジョギングか自転車程度の移動速度
台風10号は29日昼前の時点で、「強い」勢力で九州付近を自転車程度のスピードで北上しています。
「強い」勢力とは、走行中のトラックが横転するような風が中心付近で吹く台風のことです。
ここ数日は、人がジョギングする程度かせいぜい自転車くらいの速度でしか動いておらず、島しょ部での影響が大きくなっているほか、東海や関東など離れた場所にも猛烈な雨を降らせています。
29日は九州で非常に激しい雨や猛烈な風、猛烈なしけが予想されているほか、九州と四国では30日にかけて線状降水帯の発生予測情報が出ています。
さらに、このあと進路を東に変えながら九州を通過し、さらには9月はじめにかけてじわじわと列島を縦断するおそれがあります。
どうして動きが遅い?
台風は自分自身で動けないため、周りの風に流されて動きますが、今回は2つの高気圧に挟まれて、どの風にもうまく乗れない状態が続いています。
また、上空の偏西風に乗れるのがもっとも速く移動できる方法なのですが、東西から高気圧が張り出しているために偏西風もなかなか南下できず、台風を「迎えに行けない」状況なのです。
ちなみに逆に言うと、何か条件がそろって台風が偏西風に乗れた場合は、その瞬間から極端に移動が速くなることになります。海外のモデルにはそのようなシナリオを予測しているものもあります。
29日も九州は厳重警戒、離れていても滝のような雨のおそれ
前述の通り、29日も引き続き、九州では雨・風・波そして高潮に厳重な警戒が必要ですが、離れた地域でも突然滝のような雨が降るおそれがあります。特に関東などは夜になるほど広い範囲で雨が激しくなるでしょう。
また、宮崎県では28日に突風被害が発生していますが、台風に伴う竜巻などの突風も、やはり離れたところでも発生することがよくあります。
空の様子をよく見て、積乱雲(背が高く、光を通さないくらい黒っぽい雲)が近づいてくる場合は頑丈な建物に入りましょう。
また30日(金)以降についても、気象庁から大雨や暴風の警報が出る可能性がある期間について見通しが発表されています。
雨に関しては筆者の記事で繰り返しお伝えしている通り、九州南部に関しては過去最大に匹敵するか超えてしまうような量が予想されていて、今までの大雨で大丈夫だったという場所でも初めて災害が起きるおそれがあります。
また離れた場所でも、台風と高気圧の間で強化された暖湿気が同じ方向から吹き続けていることで、今まで持ちこたえていた場所でも深刻な災害につながることがあります。
大雨特別警報が出たら「手遅れ」のことも…避難のスイッチは?
現在、気象庁が「出す可能性がある」としている大雨の特別警報は、防災に関する「5段階の警戒レベル」のうち、一番上のレベル5に当たる情報です。
実は「5段階の警戒レベル」が設定された際、レベル5がどういう状態かの説明として各メディアでは「手遅れ」という言葉が使われていました。
つまり、すでに災害は起きている可能性の方が高いので、今から何かしようとしては遅い、ということです。
そのため、レベル4の情報(避難指示や、土砂災害警戒情報や、氾濫危険情報など)が出た段階で安全な場所に移動しておく必要があります。
もし特別警報が出るまでの間に移動ができなかった場合は、家の中のより安全な場所(1階より2階、山や崖から離れた側、窓から離れた場所など)で過ごしましょう。
なお事前の備えについては、備蓄のポイントに関する記事や停電対策に関する記事などそれぞれの記事を参照してください。
東北や関東で9月はじめまで雨が長引く
このさき近畿以東では9月に入る頃にかけて雨が長引く見通しで、なかでも関東や東北では9月3日頃まで雨マークがついています。
ただ、台風は東に曲がる地点(転向点)の前後で移動速度がかなり変わる傾向にあり、今後は転向したあとの予報の変化に注目が必要です。
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