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エディー・ジョーンズ、日本代表過密キャンプ練習時間を前日変更。なぜ?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
(筆者撮影)

 ラグビー日本代表は6月6日から宮崎合宿を実施。10日には期間中初の公開練習をおこない、帯同する38名中33名プラス練習生1名の計34名が汗を流した。

 自主トレーニングを含め約2時間半に及ぶセッションの後、エディー・ジョーンズヘッドコーチが取材に応じた。

 2015年のワールドカップイングランド大会時以来約9年ぶりの復帰となったジョーンズは、「超速ラグビー」を合言葉に動きと判断のスピードを求める。

 以下、共同会見時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

——きょうはスケジュール変更がありました。

「スケジュールについては毎週、必要なことを網羅すべく変えている。きょう必要なことをするために、このスケジュールになりました」

 最初の質問者がスケジュールの変更に言及したのにはわけがある。実はこの日の公開練習は、当初こそ午前、夕方前の2部構成となっており、取材対応は夕方前に予定されていた。

 もっとも直前になり、練習と取材対応が昼の前後に集約されるよう変更。夕方前のトレーニングは中止となった。

 日本ラグビーフットボール協会の広報部がメールと個別の電話で取材希望者に伝達してくれたのは前日9日夜。変更理由については「疲労を考慮したため」と説明した。

 ジョーンズ体制は「ロケットスタート」と呼ばれる6時からのレスリングセッションを皮切りに、1日あたり3度の練習を実施。その合間にミーティングなどを重ねる。

 興味深いのは、今回の変更理由についてジョーンズは「疲労」と口にしなかった。

——ロケットスタートで始まる日々。選手のコンディションをどう見ていますか。

 答えは簡潔。

「ファンタスティック。ファンタスティック」

 6月22日には東京・国立競技場で、世界ランクで7つ上回る5位のイングランド代表と対戦。新体制発足後の初戦では、約2週間の準備を経ての強豪撃破が期待されている。

 トレーニング中の様子をもとに、こう問答が続いた。

——ハイテンポな実戦練習について。

「自分たちがプレーしたいようにトレーニングを積まないといけない。数日先、自分たちが実際にイングランド代表に立ち向かうためのプレーの仕方を意識し、練習に取り組んでいます。

 ビルディングブロックと言って、(必要項目を)ブロック分けして積み上げていますが、プレッシャー下で練習するのは今日が初めてでした」

——メンバーがふたてに分かれて動いていました。イングランド代表戦のメンバーは頭にあるのですか。

「ミックスマッチという形でそれぞれのコンビネーションを試している状態。全員が候補者であることには変わりません」

——スクラム練習ではリーチ選手が本職のフランカーやナンバーエイトではなくロックに入っていた。

「リーチはもちろんロックでプレーする可能性がないわけではない。フォワードのパックにおいて、『4人のフォワード第3列(に相当する選手)がいる』という形が可能かと」

——いまの合宿の手応えは。

「現状はいい形で進んでいますが、満足することなく今日よりも明日、明日よりも明後日という姿勢で行きたい」

——短い準備時間で何にフォーカスするか。

「テストマッチではボールをいかに取っていくかが鍵。テリトリーバトルをいかにオーガナイズできるか。自分たちがボールを持った時、いかに自分たちらしいアタックができるか。…一番大事なのは集団としてのスピードを上げること」

——時間を計って練習している。

「科学的に証明されている観点から、選手に最大限の成長を促せるかを鑑みています。

 コーチ陣がそれぞれに充てられた練習時間を守れるようにという狙いがあります。それぞれ取り組みたいことが多く、『もっと、もっと』となり、トレーニングが長くなる恐れがあります。

 また実際のゲームになると、80分のなかでボールインプレーの時間は35分程にする狙いがある。ただ今週はトレーニング週なので、選手には疲労を経験してもらいたい。多くのクラブチームが10週間ほどプレシーズンを過ごしますが、私たちは10日間でプレシーズンを終えなければいけない。そのなかでトレーニングを組んでいます」

——今回の合宿中、ジョーンズさんにとっての学びや発見はありますか。

「選手の学ぶ速度には目を見張るものがある。きょうは初めてプレッシャー下での練習をしましたが、私がこれまで思っていた日本人選手の適応力をはるかに超えるものだったと感じます。それぞれの、ベターな選手になるためのハングリーさがよかった。

 今回、スコッドにはベテランも若手もいます。矢崎はいいパフォーマンスでした」

——早稲田大学2年の矢崎由高選手は現在練習生ですが、イングランド代表戦では立場が変わっているのでしょうか。

「きょう、セレクションについて私が申し上げることはないですが、それぞれの争いは非常に厳しい。矢崎はタレントのある選手。ウイングとフルバックができる。

 リーチに関しては4、6、8番でプレーできる。きょうはおもに4番でプレーしましたが、明日の午前6時に6番、11時に8番でプレーするかもしれない。ひとつ言えるのは、10番はない!」

——この日の欠席者は。

「今週末のトレーニングに戻ればセレクションに入れる」

 ジョーンズの言葉通り、この日の矢崎は実戦練習では最年長のリーチ マイケル、身長2メートル超のワーナー・ディアンズら同組に入って50・22のキックを決めるなど躍動していた。

 この日の欠席者はベン・ガンター、テビタ・タタフ、松田力也、尾崎泰雅、ジョネ・ナイカブラの5名。タタフは合流前で、所属先のボルドーがフランス・トップ14のプレーオフ直前にある。ガンター、尾崎は故障で松田は体調不良で戦線離脱中、ナイカブラは個人的な事情のためキャンプを抜けている。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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