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目を合わせるのが苦手な人が損をしてしまう理由と、その克服法

樋口智香子マナー・コミュニケーション講師

「人と目を合わせるのが苦手」
コミュニケーションにおいて、このようなお悩みの声を聞くことがあります。
人間関係において、コミュニケーションを円滑にする要因のひとつは、会話中のアイコンタクト。とはいえ、アイコンタクトが苦手!という人は、わりと多く存在します。
そこでこの記事では、アイコンタクトへの苦手意識をなくすための、克服法をお伝えします。

まず、お伝えしたいのは「人と目を合わせられない人は、大きく損をしている可能性がある」ということです。
何故ならば「目を合わせない」という行動が、人からの誤解を招くからです。

目を合わせるのが苦手な人が、損をしてしまう理由

もう少し具体的にお話をします。
私は、コミュニケーション研修をお預かりすることがあります。研修会場で、アイコンタクトが苦手だという人たちに「なぜ、人と目を合わせるのが苦手なのですか?」と尋ねると、たいてい以下のような答えが返ってきます。

・緊張してしまうから
・恥ずかしいから
・自信がないから
・相手にどう思われるか気になるから

今度は逆に、アイコンタクトが苦手ではない、という人たちに「会話中、目を合わせない人と対面したときに、何を感じますか?」と尋ねます。
すると、多くはこんな答えが返ってきます。

・ちゃんと話を聞いてくれていないのかな
・自分のことを受け入れてくれていないのかな
・嫌われているのかな
・シャイすぎるのかな

ここに、大きなギャップがあることがおわかりになると思います。
アイコンタクトが苦手だという人たちは、話を聞いていないわけでも、相手が嫌いなわけでもありません。ただ「緊張する」とか「恥ずかしい」というような思いがあるだけです。
しかし、対面している相手には「話を聞いていない」「自分を受け入れていない」というネガティブな印象を与えてしまっています。
つまり、アイコンタクトが苦手な人は、自分が抱いてもいないネガティブな感情を抱いていると、相手に感じさせてしまっているということ。これは、とても損なことです。

アイコンタクトが苦手!を無理なく克服する方法

では、どうしたらよいのか。
苦手意識を克服する方法として、よく用いられるのが「眉間のあたりを見ましょう」「相手の顔をぼんやりと見ましょう」というような、視線をぼかす方法です。
これらも確かに有効ではあるのですが、それを意識しすぎると、不自然な表情になりかねません。

そこで私がよくお伝えするのは「相手の目を見る、という”作業”をしてみてください」ということです。
アイコンタクトに感情が乗ると、恥ずかしさや緊張が生まれます。ですので、なるべく感情を乗せず「見るという作業をする」イメージです。
例えば病院の検査などで「ここを見てください」といわれれば、何の躊躇もなく指定の場所に視線を向けることができるはず。そんなイメージです。

コミュニケーション研修でも「アイコンタクトをとってください」と言い方をすると、お互いに照れ笑いが見られます。しかし「恥ずかしい人は、相手の目を見るという作業をしてみてください」というと、すんなり冷静にできるのです。

威圧感を与えない、安心感のあるアイコンタクトの方法

アイコンタクトの注意点を、もうひとつ、お伝えします。
じっと見続ける、つまり”凝視”は、相手に威圧感を与えてしまうということです。強い視線でじっと見すぎると、相手を緊張させてしまいます。

そこでご提案したいのが、相手に安心感を与えるアイコンタクトの方法です。
見るという作業をする、これに慣れてきたら、次のステップとして意識していただきたいことがあります。それは「愛おしいものを見るつもりで、見る」ということです。
例えば、かわいいペット、好きな芸能人、愛着のあるものなど。これは、イメージで結構です。ここが意識できると、とても穏やかで、あたたかいまなざしを向けることができます。

とはいえ、ずっと見続けるとやはり威圧感になるので、時折、自然なタイミングで視線を外すことも、意識してみてください。

まとめます。

1.まずは感情を乗せず、見るという作業をする
2.1に慣れてきたら、愛おしいものを見るイメージをする
3.じっと見続けず、時折、自然なタイミングで視線を外す

目合わせが苦手、という方のお役に立てば幸いです。

マナー・コミュニケーション研修講師
樋口智香子

マナー・コミュニケーション講師

マナー・コミュニケーション研修講師。千葉県出身、元資生堂ビューティコンサルタント。NLP心理学とマナーをかけ合わせたプログラムにより、ビジネスマナー研修・接遇マナー研修・コミュニケーション研修棟を実施。全国250か所から招致され、指導人数は延べ20000人以上。セミナー・研修の他、書籍の出版、コラム執筆、雑誌記事や教材監修など幅広く活動中。

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