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昆虫の仰天擬態を暴く①=身近にたくさんいるのに気づかれないナナフシ

天野和利時事通信社・昆虫記者
ナナフシと昆虫記者

 忍法「隠れ身の術」を使うとか言われて忍者扱いされるナナフシ。隠れ上手なので珍しい虫と思っている人が多いかもしれないが、一番普通種のナナフシモドキ(モドキという名がおかしいのであって、実際はこれが単に「ナナフシ」と呼ばれることも多い代表種)に至っては、都心のそこそこの規模の公園には必ずいると言っていいほど、多い虫だ。

珍しい虫と思っている人もいるが、結構どこにでもいるナナフシ。このように気付かれないだけ。
珍しい虫と思っている人もいるが、結構どこにでもいるナナフシ。このように気付かれないだけ。

 新宿御苑、代々木公園、皇居周辺などはもちろんのこと、葛西臨海公園や夢の島公園など埋立地の公園にもたくさんいる。エノキが好物だが、サクラ、ケヤキなど色々な木の葉を食べるので、どこでも生きていけるのだ。

 大きくなればなるほど夜行性の傾向が強くなるようで、昼間はじっと枝に擬態していることが多い。それでも絶対数が多いので、頭の悪いやつとか、気まぐれなやつとかが、堂々と塀や壁、看板などに張り付いていることもある。

大きなナナフシが壁や看板に張り付いていることも良くある。
大きなナナフシが壁や看板に張り付いていることも良くある。

 とは言っても昼間に大きなナナフシに出会う確率はそれほど高くない。近所の公園で簡単に見つけたい場合には、少し妥協して、4、5月にまだ幼いナナフシの幼虫を探すのがお勧めだ。

ナナフシの幼虫は春にたくさん見られる。
ナナフシの幼虫は春にたくさん見られる。

ナナフシの幼虫が3匹いるのだが、分かるだろうか。
ナナフシの幼虫が3匹いるのだが、分かるだろうか。

 サクラやエノキの幼木、ひこばえを眺めて歩けば、きっと何十匹も見つけられるだろう。幼虫は、まるで葉脈に擬態しているかのように、葉の上に足を広げて踏ん張っていることが多い。幼虫は昼間でも結構動き回るし、1カ所に何匹も群れていることもあるので、本気で探せば(そんな人はまずいないが)きっと山ほど見つかる。(写真は特記しない限りすべて筆者撮影)

時事通信社・昆虫記者

天野和利(あまのかずとし)。時事通信社ロンドン特派員、シンガポール特派員、外国経済部部長を経て現在は国際メディアサービス班シニアエディター、昆虫記者。加盟紙向けの昆虫関連記事を執筆するとともに、時事ドットコムで「昆虫記者のなるほど探訪」を連載中。著書に「昆虫記者のなるほど探訪」(時事通信社)。ブログ、ツイッターでも昆虫情報を発信。

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