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川崎か? 栃木か? Bリーグ初代王者を決めるファイナルの注目したい5つのポイント

青木崇Basketball Writer
シーズン成績トップ2の勝者がティファニー製の優勝トロフィーを手にできる(写真:アフロスポーツ)

記念すべきBリーグ初代チャンピオンを決める戦いは、レギュラーシーズンの全体成績で1位の川崎ブレイブサンダースと、2位の栃木ブレックスがマッチアップすることになった。5分ハーフのゲーム3までもつれる熱戦を勝ち抜いた両者は、ともにここ数年主力メンバーの顔ぶれが同じで、チームとしての完成度も高い。昨年までのNBLファイナルのように5ゲームのシリーズであれば、真の実力が出た結果のチャンピオンが誕生ということになるのだが、今季からスタートしたBリーグのファイナルは一発勝負。勝敗を左右するカギと観戦するうえで注目してほしいポイントとして、今回5つの要素をあげてみた。

1 ファジーカスとロシターのマッチアップ

川崎の得点源ニック・ファジーカスは、レギュラーシーズンとチャンピオンシップの64試合(5分ハーフの対アルバルク東京のゲーム3を除く)で20点未満に終わったのがわずか8試合。しかし、栃木が川崎を倒すためには、ファジーカスの得点を最悪でも20点前後に限定させたいところ。そのカギは、ライアン・ロシターが握っている。ロシターの持ち味の一つには、ビッグマンながらボールハンドリングのうまさ。サイズがあってディフェンスのいい千葉ジェッツのヒルトン・アームストロングを相手したときと同様に、ウイングからのドライブで攻める機会を増やし、ファジーカスによりタフなディフェンスを強いるような状況に持っていけるかに注目したい。

もし、ファジーカスが30点以上奪うと、今季の川崎は20勝1敗と非常に強い。1月22日に栃木を倒した試合でも、35点を奪っている。ロシターがファジーカスを上回る得点を記録するのは難しいかもしれないが、5点差以内になると栃木が優勢になりそうな気がしている。

2 好調な篠山を栃木がいかにスローダウンするか?

川崎のファイナル進出は、篠山竜青の活躍抜きにあり得ない。サンロッカーズ渋谷とのクォーターファイナル、アルバルク東京とのセミファイナルでは、いずれも18点以上をマーク(東京とのゲーム3は除外)。この4試合で2Pシュートが29本中20本成功(69%)、3Pシュートも14本中10本成功(71.4%)と絶好調。スコアリング・ポイントガードとしての本領を発揮している。栃木は田臥勇太と渡邉裕規が、簡単にシュートを打てる場面を作らせないためにも、オフボールの局面で厳しい対応をし、これまでのいいリズムを崩したいところ。状況によっては、辻直人に対応する遠藤祐亮や須田侑太郎というディフェンスのいいスイングマン2人が、篠山にマッチアップすることもあるだろう。

3 3Pシュート

一発勝負のビッグゲームに限らず、現代のバスケットボールは3Pシュートが勝敗を大きく左右する。カギを握るのは川崎が辻、栃木が古川孝敏という日本代表のシューターだ。辻は昨季のNBLファイナルで2連敗で王手をかけられたアイシン(現シーホース三河)とのゲーム3で7本決めるなど、ビッグゲームで強さを発揮できる。大爆発の可能性は辻より少ないかもしれないが、古川が当たると栃木は強い。今季はチャンピオンシップを含め、3本以上決めた試合で10勝1敗。この2人を中心に、両チームの3Pシュート成功数と確率は、勝敗を分ける要素としてぜひ注目してほしい。

4 Xファクター

訳すと未知の要因で、ここでは予想外の活躍で勝利に貢献する選手が出てくるか否かということ。昨年のNBLファイナルであれば、長谷川技がディフェンスだけでなく、いいところでシュートを決めていたのは好例。B1ファイナルでXファクターになりそうな選手として、川崎なら元日本代表でディフェンスのいいベテランの栗原貴宏、栃木なら成長株で3Pシュートで当たりが出たときの須田の名前をあげてみたい。もちろん、皆さんなりにロールプレイヤーでステップアップしそうな選手を予想してみては?

5 スタッツに出ない要素

バスケットボールの勝敗は、スタッツに出ない部分が影響することも多々ある。そこに焦点を当ててみると、両チームのアメリカ人がもたらす要素に注目したい。それは、川崎のライアン・スパングラーがもたらすエナジーと、栃木のジェフ・ギブスがもたらすフィジカルの強さである。セミファイナルの戦いぶりを振り返ると、この2人の活躍がなければ両チームの勝利はあり得なかった。ハッスルプレイも持ち味とする2人が、直接マッチアップする時間帯は多くなると想定できるだけに、貢献度の高かったほうがチームの勝利に直結するような気がしている。

予想は? と思う方も中にはいるかもしれない。筆者はどちらが勝っても、最後まで緊迫した好ゲームになればいいというのが本音。ラストショットで勝負が決まるとなれば、Bリーグ1年目は最高に盛り上がるエンディングを迎えられるのだから…。

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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