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なぜ怒るのか? それは、相手に期待して「裏切られた!」と感じるから…です。

竹内成彦心理カウンセラー(公認心理師)

こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

今日のテーマは、「怒るのは期待しているから」というものです。

さて、世の中には、怒りん坊という人がいます。家の中でしか怒らない人もいれば、家の外でしか怒らない人、家の中でも家の外でも怒る人がいます。

あなたは如何ですか?
怒りん坊ですか? そうでもないですか?
もしも怒るとしたら、どこで? どんな時に怒るのですか?

私のカウンセリングルームにも、ときどき、「怒りん坊の性格を直したい」とおっしゃるクライアントが訪ねて来るのですが、怒りん坊の人は、本当によく怒ります。奥さんに怒鳴り散らし、子どもを叩き、コンビニ店員に怒声を浴びせ、土下座までさせたりします。あまりの大騒ぎっぷりで「家の近所の人から、もしくはコンビニの店長さんから警察を呼ばれたことが何度もある」とおっしゃる人もいます。

ちなみに私は、喫煙禁止区域で煙草を吸っている人や、運転している自分の車からゴミを投げ捨てる人や、列車の車内の出入り口付近で立ち止まって奥へ少しも詰めようとしない人などを見ると、イラっとすることがありますが、少なくともコンビニ店員さんに腹を立てたことは、おそらく1度もないと思います。

私がコンビニ店員さんに腹を立てたことが1度もないのは、私がコンビニ店員さんに何も期待してないからだと思います。商品を渡し、お金を支払い、商品を受け取れば、それでオッケーだと思っているからです。笑顔で接客してもらおうとか、丁寧に接客してもらおうとか、優しくお釣りを渡して欲しいとか、そんなこと、ほとんど考えたことがありません。

正直、コンビニ店員さんに腹を立てるなんて、「どんだけ店員さんに期待しているんだ?」と思ってしまいます。相手は、昨日入ったばかりの新人アルバイトさんかもしれないし、日本語もおぼつかない外国人かもしれませんし、業務が忙しくメチャメチャ急いでいる店長さんかもしれません。だったら、お金を支払い、自分の希望の品を手に入れることが出来れば、それで十分じゃないですか?

コンビニは、高級ホテルとか老舗旅館では、ありません。特別なおもてなしをしてもらおうと期待するほうが間違っています。しかも、相手の多くは、たかだが時給1,000円ぐらいしか貰っていないアルバイターなんですよ。なにイチイチ腹を立てているのですか? と私は言いたいです。

私は、コンビニに買物に行ったら、いつも「お願いします」と言って商品を差し出し、「ありがとうございます」と言って、商品を受け取るようにしています。嫌な思いをしたことなど、ほとんどありません。あまりに素敵な笑顔を見せる店員さんにはチップをあげたことがあるくらいです。よって私は、コンビニ店員さんには、いつも心の底から感謝しています。← 態度の悪い店員さんとか愛想の悪い店員さんとか、会ったことが1度もないのではないか? と本気で思っています。

日本人は、自分が客の立場に立ったら、往々にして威張り過ぎです。だから、自分が客を迎え入れる立場に立ったらペコペコしなければならなくなるのです。

怒っている人を見ると、なんだか幼稚に見えますよね。
皆さんもそうではないですか?
あれは、親に期待し、「親が自分の気持ちに気付いてくれなかった、親が自分の期待に応えてくれなかった」と言って、泣いて駄々をこねている幼い子どもを、私たちに連想させるからです。

怒り感情を爆発させるのは、みっともないことです。
怒っている人は、知性や人格まで疑われてしまう羽目に陥ります。
だから、出来る限り怒らないことです。そのためには、相手に期待しないことです。

家の外では怒らないのに、「家の中ではよく怒る」とおっしゃる人は、家族に期待し過ぎているからです。もしくは、「家族なら、怒っても反撃されるようなことはないだろう。家族なら、怒っても許されるだろう」という甘えの気持ちが生じているからです。

親しき仲にも礼儀ありです。家族と言えど、なるべく怒らないようにしましょう。そのためには、相手に過度に期待しないことです。

それに、怒るという行為意は、自分の精神衛生上、身体衛生上、健康に良くありませんからね。怒ると心身に不調を来します。ですから、怒らないことが大切です。

って言うと、「じゃあ、怒るのを我慢すればいいんだね!」とおっしゃる人がいるのですが、それも違います。

怒るのを我慢していると、ストレスが溜まります。よって、そもそも相手に期待しなければ、腹も立たないし、怒るのを我慢する必要もなくなりますよ…ということなのです。

私の友人で、非常に気が長くて穏やかな人がいます。その彼は、誰に対しても親切で優しいです。数十年つきあっていますが、怒ったところは、ほとんど見たことがありません。その彼に、怒らない秘訣を聞いたところ、やっぱり答えは、「相手に期待しないことだね」というものでした。

その怒らない彼は、奥さんが夕食を作ってくれたら、「ウルトラ・ラッキー!」と思い喜び、奥さんが夕食を用意してなかったら、「ただ、ふーんと感じるだけだ」とのことです。そう、彼は、そもそも、「奥さんは夕食を作ってくれるものだ」と期待していないのです。だから彼は怒らないのです。そんな彼は、いつ会っても上機嫌です。

あなたも、どうぞ怒らない人になってください。
それが世のため人のため自分のためです。
そして怒らない人になるためには、相手に期待しないことです。

今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。

      この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

心理カウンセラー(公認心理師)

1960年、愛知県名古屋市で生まれ育つ。1997年06月、地元愛知でプロのカウンセラーとして独立開業を果たす。カウンセリングルーム「心の相談室with」名古屋 の室長。臨床歴25年、臨床数15,000件を超える。講演・研修回数は800回、聴講者は10万人を超える。【上手に「自分の気持ち」を出す方法】など、電子書籍を含め、20数冊の本を出版している。カウンセリング講座などを開催し、カウンセラーを育てることにも精力を尽くしている。

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