台風4号 九州に接近、上陸のおそれ なぜ急カーブするのか?
台風4号は2日(土)午後3時現在、那覇市の東海上を北上しています。台風は今夜、沖縄本島に最も接近したあと、5日(火)には九州にかなり接近し、上陸するおそれがあります。その後、本州付近を進んだ場合は7日(木)にかけて、西・東日本で大雨となる見通しです。
高気圧の後退で、急カーブして接近
猛暑も、台風も、カギを握るのは夏の主役「太平洋高気圧」です。これまでは高気圧に覆われて、早すぎる梅雨明けとなりました。
今後は一転して、太平洋高気圧の後退が鮮明になり、張り出しが急に弱まります。そのため、台風が急カーブして日本列島に近づく見通しです。台風は高気圧を横切ることができず、縁に沿って移動するからです。
記録的な空梅雨で、ダム貯水率低下も
これまでにないほど梅雨が短かった影響で、6月の降水量はかなり少なくなりました。中国地方は平年の49%、四国や近畿地方は平年の57%です。雨が少なかった影響で、四国の早明浦ダムの貯水率は2日現在、31%まで低下しています。
一方、首都圏の水がめである利根川上流9ダムは満水です。この冬、雪が多かったこと、そして5月に雨が降ったためです。今月から大雨時に下流の洪水を防ぐため、ダムの容量に余裕を持たせる対策が行われています。
広範囲で大雨のおそれ、梅雨のやり直し?
台風の北上に伴って、今後は西・東日本の広い範囲で、雨が強まる見通しです。
台風4号の雲をみると、中心より外側に発達した雨雲があることがわかります。これは太平洋高気圧の縁を流れる非常に湿った空気が重なっていることを示しています。
さらに、この先の湿った空気の流れ(青緑)をみると、本州に沿って流れ込む様子がわかります。この大気の川は梅雨末期の集中豪雨に匹敵するような大雨をもたらす可能性があるものです。
昨年(2021年)7月3日は静岡県熱海市で土石流災害が発生しました。そして、7月5日は九州北部豪雨(2017年)、7月6日は西日本豪雨(2018年)が起こった日です。
長年、天気をみていると、自然はどこかで帳尻合わせをするような感覚に陥ります。水不足も困りますが、危険な大雨も困ります。適度に降ってほしいものです。
【参考資料】
気象庁:6月の天候まとめ、2022年7月1日
香川県ホームページ:かがわの水 KAGAwater
利根川ダム統合管理事務所ホームページ