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失踪した14歳が身ごもった子の父親は、60歳の男とその息子。 懲役15年は軽すぎ?

宮崎紀秀ジャーナリスト
未成年への性犯罪事件への判決。量刑への疑問も(写真:アフロ)

 14歳で行方不明になった少女が6年後に見つかった。この間、彼女は60歳の男とその息子の子供を産んでおり、男は強姦罪で懲役15年の判決を言い渡された。発覚当初から中国メディアの関心を集めたこの事件、有罪判決に至ったものの、ネットの書き込みで「量刑が軽すぎるのでは」との意見が出ている。

総合失調症で見つかった少女

 事件は、8年前に遡る。中国メディアによれば、始まりは2012年5月。河南省中南部の駐馬店市に住む14歳の少女が、些細な原因で兄と喧嘩して、家を出て行ったきり行方不明になってしまった。

 その6年後の2018年1月、街でビラ貼りをしていた少女の母親が、偶然、彼女を見つけた。母親のインタビューによれば、「私の顔を見て。誰か分かる」と聞いても、彼女は、最初、母親が分からなかったようだ。母親が、繰り返し自分の顔をよく見るように言い、彼女は、やっと「お母さん」と口にしたという。

 母親がそのまま、彼女を家に連れ帰ろうとすると、彼女は「子供が、子供が」と叫んだという。母親は、娘の目つきや話し方がおかしいと感じた。

 後に、彼女は、総合失調症と診断された。

 彼女には、この時すでに子供が3人いた。

子供の父親は「父と子」

 警察の調べで驚く事実がわかった。

 子供の父親の1人は近くに住む当時60歳の男。

 家を飛び出した少女は、この男の家に連れて行かれ、男の息子と一緒に住まわされた。それから2年余り経った2014年11月、少女は、男の子を産む。父親は、この60歳の男である。さらにその2年後の2016年8月、彼女は双子を産む。双子の父親は、60歳の男の息子の方だった。

 60歳の男は警察に捕まり起訴されたが、息子の方は、精神疾患があり、刑事責任がないと判断された。

 今月20日、地元の裁判所は、この60歳の男に対する一審判決を下した。裁判所は、男が、息子にも未成年への性犯罪を教唆した主犯であると認定し、強姦罪で懲役15年と5年間の政治権利剥奪を言い渡した。また、少女に対する賠償金として3万2000元(約50万円)余りの支払いを命じた。

 彼女の家族は、量刑が軽すぎるとして、上訴する意向を示しているという。

 度々報じられる未成年へのあまりにひどい性犯罪に対し、中国の庶民の怒りも大きい。この事件についても、「犯人を死刑にすべき」など極刑を求める声や、刑事責任能力がないと判断された息子が罪に問われていない点を疑問視する声が、ネット上には書き込まれている。

ジャーナリスト

日本テレビ入社後、報道局社会部、調査報道班を経て中国総局長。毒入り冷凍餃子事件、北京五輪などを取材。2010年フリーになり、その後も中国社会の問題や共産党体制の歪みなどをルポ。中国での取材歴は10年以上、映像作品をNNN系列「真相報道バンキシャ!」他で発表。寄稿は「東洋経済オンライン」「月刊Hanada」他。2023年より台湾をベースに。著書に「習近平vs.中国人」(新潮新書)他。調査報道NPO「インファクト」編集委員。

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