舞浜シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテルが提供する低糖質の鉄板焼フルコースとは?
鉄板焼のイメージを覆す試み
鉄板焼にはどういったイメージを持っているでしょうか。
「高級」「豪華」といった贅沢なイメージや、「お肉たっぷり」「ボリュームが多い」というしっかり食べるイメージがあるかと思います。こういったイメージがある中で「低糖質」「低カロリー」を謳った鉄板焼があると聞いたら驚くのではないでしょうか。
20周年を迎えるウェスティンホテル東京のレストランを振り返る(2) - 鉄板焼「恵比寿」の記事では、恵比寿牛を創り出したり、塩釜焼きを追求したりと、既存の鉄板焼の概念を打ち破る斉藤博之氏のこだわりをご紹介しました。
このようなブランド牛や調理技法とは違う方向性でこだわりを持っているのが、シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテルの鉄板焼レストラン「舞浜 Teppanyaki+」シェフの佐藤武士氏です。2014年4月1日から「低糖質x鉄板焼 ディナー“Healthy+”」の提供を開始しました。
味に妥協は許されない
佐藤氏は「健康を気遣う方にも、思う存分に楽しんでいただきたい」という想いから、「鉄板焼の美味しさとボリュームはそのまま」にして、その代わりに「知恵をふり絞って糖質やカロリーをカットした」と、新しい挑戦について話します。
佐藤氏はシェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテルで20年間勤めており、20代の頃から鉄板焼カウンターに立ち、同ホテル最上階にあって評判の高かったフランス料理「ザ・サミット」(2008年5月に閉店)でも肉料理を作っていた、まさに肉のスペシャリストです。その佐藤氏をもってして「糖質を抑えながらも、牛肉の旨味を堪能できる」と選んだ牛肉が、褐毛和種の北海道産「神内和牛あか」だったのです。
日本で食べられている和牛のうち、脂の多い黒毛和種が9割を占めると言われていますが、「神内和牛あかは赤身肉が美味しい」として、「最高級の褐毛和種は黒毛和種よりもコストが高くなるが、味に妥協は許されない」という信念を貫き、普段使っている「千葉産かずさ和牛」ではなく「神内和牛あか」を使うこととなったのです。
低糖質メニューに潜在的なニーズがある
佐藤氏が低糖質を追求するようになったきっかけは総料理長の竹内浩氏の影響がありました。竹内氏は「色々なレストランで低糖質メニューの提供が増えている」と健康志向のトレンドを肌で感じ取り、東京ディズニーリゾートのオフィシャルホテルであるという特性から「三世代で訪れるお客さまが多い」として「糖質を気にされる中高年の方がいる」、加えて「今後、日本全体で糖尿病を患う人が増えていく」として、低糖質メニューに対する潜在的なニーズがあると考えたのです。
確かに、東京ミッドタウンのイタリア料理「Botanica」、ミシュラン2つ星のフランス料理「エディション・コウジ シモムラ」、赤坂の地中海料理「Amite」といったレストランでは低糖質メニューを提供しており、ときわ台の「パティスリー ラ ノブティック」、京王プラザホテル「ポピンズ」といった店では低糖質スイーツを販売しています。
竹内氏が低糖質で何か提供できないかと考えている時に、「神内和牛あか」の賞味会があったので参加したところ、「神内和牛あか」の赤身肉の美味しさを知り、低糖質メニューを開発する一歩を踏み出したのです。
低糖質であるだけではなく低カロリー
マーケティング コミュニケーション 広報SV(スーパーバイザー)小池香苗氏が「ホテルの総力を挙げて取り組んだ」と話すように、料飲部部門やマーケティング部門だけではなく、人事総務部コーディネーターでありながら栄養士の資格を有する野田エリカ氏も協力して、低糖質メニューの開発を行いました。
野田氏は「日本人は1食で平均94~131gの糖質摂取量が基準とされているが、低糖質メニューでは32.4gに抑えた」とし、小池氏は「白飯1杯が約60gなので、その半分程度しかない」と、いかに糖質をカットしているかを説明します。
野田氏が「赤身肉のサーロインは全体的にカロリーも低い」と言う通り、脂身が多い黒毛和種のサーロイン100gが約500kcalであるのに対して、赤身が多い褐毛和種のサーロインは100g約300Kcalとカロリーが約40%も抑えられており、小池氏は「カロリーが控えめになっていることも嬉しい」と女性の心理を覗かせます。
低糖質で鉄板焼のフルコースを実現
鉄板焼コースは前菜から始まり、魚の鉄板焼、肉の鉄板焼、お食事、デザート、飲み物と、通常のフルコースと全く同じ流れで用意されています。
- お造り三種盛り合わせ(ボタン海老、鮪、カワハギ)
- 干し貝柱のスープで仕上げた活け鮑のしゃぶしゃぶ
- 天然真鯛のグリル 柚子胡椒のアクセントをつけたフレッシュトマトのソース
- 北海道産「神内和牛あか」サーロインステーキ120g 野菜のせいろ蒸しを添えて 舞浜特製白醤油のポン酢と大根おろしのソース
- あおさ海苔の香るスープヌードル
- 黒胡麻プリン
- コーヒーまたは紅茶、ハーブティー
干し貝柱のスープで仕上げた活け鮑のしゃぶしゃぶ
鉄板焼コースで、食材としてアワビが提供されるのは一般的ですが、しゃぶしゃぶで提供されることは珍しいです。佐藤氏が「スープは鰹出汁をベースに干し貝柱で仕上げているので、そのまま飲んでも美味しい」と自信を持って言うように、スープは糖質がない上に旨味がたっぷりです。
アワビは贅沢にも丸ごと一つが提供されていて、小池氏が「しゃぶしゃぶすると柔らかくなって美味しいが、そのまま食べても美味しい」と言うように、鮮度も質もよいです。
天然真鯛のグリル 柚子胡椒のアクセントをつけたフレッシュトマトのソース
トマト、柚子胡椒、エシャロット、バルサミコ酢、オリーヴオイルを使ったソースで、糖質はほとんどありません。「フランス料理の焼く技法は全て、鉄板焼で行える」と佐藤氏が言うように、真鯛をポワレのように焼き、皮がパリっとして身はふっくらと仕上げます。
北海道産神内和牛サーロインステーキ 120g 野菜のセイロ蒸しを添えて 舞浜特製白醤油のポン酢と大根おろしのソース
赤身が中心なので美しい赤のグラデーションとなっていて、脂身が少ないので噛み締める程に味わいが深まります。
鉄板焼では通常、付け合わせの野菜は鉄板で肉と一緒に焼かれますが、セイロで蒸されているので非常にヘルシーです。
小池氏が「少しでもヘルシーに食べていただきたかった」と述べたことを受け、佐藤氏が「セイロで蒸すのは作業が増えて手間はかかるが、やるなら徹底的にやりたかった」と語るように、低糖質であるだけではなく、より健康的に食べてもらいたいという信念が伝わってきます。
あおさ海苔の香るスープヌードル
鉄板焼では最後に白飯やガーリックライス、炊き込みご飯が提供されることがほとんどなので、スープヌードルが提供されることは珍しいです。
白米と同じく小麦粉も非常に糖質が高いので、麺には小麦粉を一切加えておらず、コンニャクと大豆だけで製麺した特注品を使っています。麺自体には小麦粉のような風味はありませんが、あおさ海苔の磯の香りが豊かなので単調になっていません。
黒胡麻プリン
濃厚な黒胡麻プリンに、白胡麻ペーストを合わせています。デザートは糖質の固まりなので低糖質メニューを作ることが非常に難しいですが、砂糖を控えても胡麻の風味で楽しめるようにしており、生クリームもトッピングしていません。
コーヒー又は紅茶
紅茶やハーブティーはシンガポールの高級ブランド「TWG」で、砂糖を加えなければ糖質がありません。
コーヒーは通常はブラックで提供していますが、希望する場合には砂糖、ブラウンシュガー、低カロリーのパルスイート、糖質が同量の砂糖より低いコンデンスミルクを添えています。これだけオプションがあるのは細やかな気遣いの現れであると言えるでしょう。
お客様が健康でいてくださることが大切
シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテルは低糖質にこだわった鉄板焼を開発しましたが、実はこれよりもずっと前からお客さまの健康を気遣っていました。
レストラン統括シェフ北詰裕之氏は「アレルギーのお客さま向けに10年くらい前から特別なお料理を作ってご提供している」として、「料理人が電話で症状を細かくお尋ねし、調理する厨房を分けるなどして個別の料理をご提供してきた」と説明します。
小池氏は「シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテルのコンセプトの重要なエッセンスの一つが Fun」であると述べ、それには「まず何よりも、お客さまが健康でいてくださることが大切」と語ります。
東京ディズニーリゾートのオフィシャルホテルの中でも最大級の客室数を有しており、幅広い年代の人が訪れるシェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテルが今後、どのようにお客さまの健康を気遣っていくのか、期待を込めて温かく見守っていきたいです。
■情報
詳しくは公式サイトをご確認ください。
■参考