第25回全国高等学校女子硬式野球選手権大会決勝の見どころ
高校女子野球の現状
高校女子野球の大会は、3つあります。選手権大会、選抜大会、ユース大会です。各都道府県に野球部はなく、いずれも予選はありません。今大会出場校が40校というのは、うち1チームを除き、単独で出場できる全国にある女子硬式野球部と同数です。
8月下旬に行われているユース大会は、選手権大会で引退した3年生を除き新チームで臨む、最初の全国大会です。春の選抜大会、夏の選手権大会と続きます。
背番号は選手が選べる
高校野球の場合、背番号が守備位置を指していますよね、例えば、ピッチャーは1、キャッチャーは2というように。もちろん、背番号5の選手が投手を務めることはありますが、基本の守備位置番号は決まっていますよね。が、女子の場合、背番号が違っていてもOK。今日出場する神戸弘陵高・島野愛友利さんの背番号は89です。守備位置を指す背番号に則っている学校もあります。
試合前のチーム一体感を高める儀式にも注目
試合開始前に、円陣を組んでチームのテーマ曲を全員で歌うチームもよく見かけます。神戸弘陵高もその一つ。もはや名物化しているように見えます。チームによっては、グランドにいる選手とスタンドから応援する選手らが、フェンス越しに一つの円陣になるように位置取り、歌を歌ったりしています。選手たちが自発的に行い、伝統となっている学校もあるようです。
攻守交替で守備についたナインへ
ベンチ組が整列して声援を送る
攻守交替時に、ナインが守備位置まで走っていき、ピッチャーが投球練習をしている間、ベンチに残っている選手たちはライン近くに整列して見守っているチームが多いです。そして、投球練習が終わりキャッチャーがセカンドへ送球した時点で、グランドの仲間たちへ向けて大声で気合の声援を送ります。そのなんと元気な姿のこと!
一体感のある動きで喜びを表現するのが上手
チームが得点できた場合、選手らがベンチ前に出てきてタイムリーを打った選手へ向けて喜びのパフォーマンスを送るチームもよく見かけます。今年は残念ながら、コロナの影響なのか、見かけません。
ダイヤモンドの大きさは男子と同じ
意外とよく尋ねられることです。グラウンドの広さは男子と変わりません。投手の投げる距離やベース間の距離も男子と同じ。甲子園だからといって、ラッキーゾーンは存在しません。選手権でいえば、毎年会場となっていて準決勝まで行われていた兵庫県丹波市のつかさ球場もセンター122メートル、両翼105メートルという広さ。そこをフルに使って試合をしています。神戸弘陵高・石原監督も「その辺りは特に懸念していません」とのこと。外野が抜けた時の、懸命にボールを追う選手らをどうぞ応援してください。
7イニング制、DH制であること
女子の場合は7イニング制で、DHがありますから、作戦面で男子と変わって来そうですね。そう考えながら観戦すると、より一層面白いのではないでしょうか。
ダイビングキャッチや
ヘッドスライディングする姿が多い
危険も伴うといったプレーに対する是非はここではともかく、とにかくよく目立ちます。一種、捨て身にも見えるその姿は、それだけ一生懸命である表れではないかと感じています。
両チームの見どころ
部員数60名以上を誇り、5年前に優勝、選抜でも18,19年に連覇するなど、実績十分の神戸弘陵高。夏前に急成長し、準決勝まで全て先発している日高結衣投手(2年)と、中学時代に硬式野球日本一を決める、全日本中学野球選手権大会 ジャイアンツカップで胴上げ投手として一躍有名になった島野さんの継投が今日も見られるか。島野さんは、高校へ入ってから、女子同士なら力負けしないバッティングにも力を入れていて、打撃の信頼も抜群。野手として先発出場してから、抑え登板しています。
創部3年目で決勝の舞台に上がってきた、高知中央高。相手によって七変化する野球が楽しみです。それだけよく相手を見て対応する能力のある選手が揃っている証拠。3試合に先発している和田千波留投手(2年)、準々決勝で好投した藤原歩生投手(2年)をはじめ、野球部一期生を支える1,2年生の存在も大きいです。彼女たちが、神戸弘陵打線をどこまで抑えられるかにも注目です。まとまり十分の新生チームの旋風が見られそうです。
また、17時プレーボールとなれば、恐らく、どこかのタイミングでナイターになるでしょう。甲子園という舞台以外にも、それが何か影響するのでしょうか。
とにかく、笑顔あり、ひたむきな姿の上で、野球の面白さを表現してくれるはずです。どうぞ、ご期待ください。
(写真撮影は全て筆者)