第9回 WBSC女子野球ワールドカップ・グループステージB 最終日 侍ジャパン女子代表 5戦全勝で幕
三次きんさいスタジアム(広島県三次市)で行われていた「カーネクスト presents 第9回 WBSC女子野球ワールドカップ・グループB」は9月17日に最終日を迎えた。ファイナルステージ進出を決めている侍ジャパン女子代表(以下、侍女子)はキューバを10対0とコールド勝ち、グループステージを5戦全勝で締めた。
日本 314 101 10
三次きんさいスタジアム(広島県三次市)で行われていた「カーネクスト presents 第9回 WBSC女子野球ワールドカップ・グループB」は9月17日に最終日を迎えた。ファイナルステージ進出を)決めている侍ジャパン女子代表(以下、侍女子
(6回コールド)
【侍ジャパン女子代表出場メンバー】
1(左) 小島也弥(九州ハニーズ)
2(中) 三浦伊織(阪神タイガースWomen)
中 白石美優(大阪体育大学)
3(一) 川端友紀(九州ハニーズ)
一 中江映利加(阪神タイガースWomen)
4(右) 楢岡美和(九州ハニーズ)
5(指) 泉 由希菜(淡路BRAVEOCEANS)
6(三) 星川あかり(淡路BRAVEOCEANS)
7(補) 村松珠希(はつかいちサンブレイズ)
8(遊) 岩見香枝(埼玉西武ライオンズ・レディース)
9(二) 只埜榛奈(東海NEXUS)
【バッテリー】
キューバ Y.DOMINIGUEZ、M.VERDECIA-J.HERRERA
日本 田中露朝、堀田ありさ、泰 美勝、里 綾実-英 菜々子
攻守ともにキューバを圧倒、目標通り全勝を達成
日本はキューバ投手の立ち上がりを攻めたて初回に3得点すると、2回に9番・只埜榛奈、3回は3番・川端友紀、4回には8番・岩見香枝が三塁打を放つなど長打力を見せつけ得点し、前半で8対0と試合を決めた。
先発は、ベネズエラ戦で苦戦した田中露朝(ZENKO BEAMS)が登板、小気味よい投球で3回を4奪三振と前回の雪辱を果たす内容で試合をつくった。
侍女子、トップレベルのプレーを余さず披露
この日は前日よりも更に多くの野球ファンが詰めかけ、バックネット裏や内野席はもとより、日本ベンチのある一塁側スタンドは外野近くにも観客の座る姿が。川端の走者一掃の三塁打や、田中露がはじいたゴロをすかさず二塁手、只埜がカバーし打者走者をアウトに取るプレーなど、大観衆を前に侍女子はトップレベルのプレーを見せ、大観衆を大いに魅了した。
名手の岩見香枝が打撃でも魅せた
全試合に遊撃手として出場、幾つもの好守でチームを救ってきた岩見香枝が、2安打、1打点、1得点と打撃でも魅せた。「打撃は永遠の課題」と話す岩見は、「私の持ち味は守備。守りからリズムを作って打撃につなげようと思いながら」毎試合臨んでいたといい、3打席目には右翼を越える三塁打を放った。が、試合後の会見では「私の中では納得していないというか、もっと練習していかないと」と自重気味に話した。
一方の守備については、打球の回転の速さや、捕球時にグッと押される力強い感覚など、外国人選手対策として「回転数を上げたマシンから繰り出されるボールで守備練習をしてきた」といい「その成果が今大会で発揮できたと」と振り返った。さらには、3戦目のベネズエラ戦で見せた、三遊間の深い位置からの力強い送球がが最も印象に残っているといい、磨きをかけてきた物が国際大会で披露できて自信に繋がったと話した。
今大会を振り返り「良いプレーが出たときの大歓声は心に響き、練習をしてきて本当に良かったなと思いました。このように女子野球をアピールできる素晴らしい機会に感謝しています。選手全員が女子野球の魅力を伝えれた大会だったと思う」と話した。来年のファイナルへ向けては、「まず、自チームへ今大会で感じたことを伝えて、若手の育成につなげていきたい。その上で、私自身も(再び)代表入りを目指しパワーアップしたい」と抱負を語った。
W杯7連覇へグループステージB全勝の侍女子を支えた出口彩香主将
川端友紀主将とともに共同主将として、5月のアジア杯から侍女子をけん引してきた出口彩香主将。自身は2018年の前回大会に続き2度目の主将だったが、今回の侍女子はどのようなチームだっただろうか。「まず、私自身、(川端)友紀さんと阿吽の呼吸でやれたので、(主将として)気持ちに余裕がありました」と語り、「ひと試合ごとに選手のコンディションが良くなったのがこの結果につながったのでは」と振り返った。また、アジア杯の優勝も大きかったという。「メンバーにW杯経験者が少なかった分、アジア杯での戦いが個々の経験として蓄積されチーム力として生きたと思う」と話した。
一選手としては代表入りして初の三塁手を経験。「外国人選手はどんどん振ってきてアウトコースでも強引に引っ張るので、いかに3塁線を抜かれないようにするかを意識していました」という。言葉通り、球際の強さを遺憾なく発揮できた。が、自信のあるスローイングで珍しく二度、悪送球をしてしまった。「三塁からの距離感が難しかった」と振り返り、「打球速度も把握できましたし、今回の反省を活かして次はしっかり守ります」と力強く答えた。
前回大会から5年。この期間に増した円熟味が強みになっていると感じている。一番の違いはミスをしたとき。「ミスををしても周りがカバーしてくれます。落ち込んでムードを悪くしないように、逆に周囲に声をかけるようにして」気持ちの切り替えが上手くできるようになったと話す。今大会でもミス直後に安打を放つなど、打撃で返すプレーがあった。
ファイナルステージは、カナダ・サンダーベイで行われる。開催時期や侍女子についての予定など、詳しい内容は今のところ発表されていないが「どのみち年は越しますから、冬場の練習をしっかりと、いつでもいけるように準備しておきます」。頼れる主将は、7連覇を成し遂げるべく、早くも次のステージを見据えている。
中島梨紗監督のコメント
「5戦全勝と理想的な形で終われたことにホッとしている。今日の田中(露朝)は、緊張がありながらゲームに集中できていたので、今日は大丈夫だと感じていた。後先考えずショートイニングをしっかり投げて欲しいと伝えていた通り、立ち上がりも良かった。プレッシャーのかかった中で登板した経験を糧に、来年に向けて少しずつ成長してくれれば。
今大会を通じて世界レベルを知れたのは大いに収穫。チームは一度解散するが、今回の選手たちには、見えてきた課題…スイング力のアップや送球ミス、無駄な四死球といった点を克服し成長した姿で来年のジャパン入りを目指して欲しい。
素晴らしい球場、素晴らしい環境で野球ができました。連日、早朝から夜遅くまでよくしていただき、大会運営、ボランティアスタッフの方々には感謝しかありません」
(撮影はすべて筆者)