縮小するアジア最大映画祭の行方 韓国スターが艶やかに彩る釜山国際映画祭
アジア最大級の映画祭『第28回釜山国際映画祭』が10月4日に開幕。オープニングセレモニーには韓国スターのほか、世界から俳優、監督など映画人が集結し、満席の会場のレッドカーペットを華やかに彩った。
トップスターからK-POPアイドルまで華やかに彩る
レッドカーペットに最初に登場したのは、映画祭ホストを務める世界的俳優であり是枝裕和監督の盟友でもあるソン・ガンホ。映画祭関係者とともに招待作品の監督、出演者らゲスト全員を出迎え、握手をしながら言葉を交わした。
華やかにドレスアップしたゲストが彩ることでおなじみのレッドカーペットは、MCを務めるパク・ウンビンのほか、ハン・ヒョジュ、ハン・イェリ、ソン・ジュンギ、ユン・シユンらトップ俳優のほか、f(x)のクリスタル、元4Minuteのクォン・ソヒョンなどが艶やかな姿で歓声を浴びる。
日本からは岩井俊二監督、石井裕也監督、宮沢りえ、井浦新、田中麗奈、杉咲花、アイナ・ジ・エンド、松村北斗らが出席。レッドカーペットで客席の声援に応えた。トリを飾ったのは「今年のアジア映画人賞」を受賞したベテラン香港俳優チョウ・ユンファ。オープニングセレモニーのステージでは、ソン・ガンホとの夢の共演が見られた。
今年も日本から多くの映画人が招待されている
5日からは公式上映のほか、さまざまなプログラムが組まれ、日本からも多くの映画人が参加予定。『怪物』の公式上映とプレスカンファレンスが予定されている是枝裕和監督のほか、『第80回ヴェネチア国際映画祭』で銀獅子賞を受賞した『悪は存在しない』の濱口竜介監督はスペシャルトークイベントに招待されている。荻上直子監督は、併催されるアジアコンテンツマーケットのトークセッションに登壇予定だ。
また、柳楽優弥はドラマ『ガンニバル』でアジアコンテンツ&グローバルOTTアワードの最優秀主演男優賞にノミネートされているほか、岩井俊二監督の『キリコのうた』など日本からの招待作品のトークイベントにも監督、出演者の登壇が予定されている。
是枝裕和監督は本映画祭の常連だが、今年参加の岩井俊二監督を含めて日本と韓国の映画界にはお互いへのリスペクトがあり、共同制作などの実績も少なくない。本映画祭での交流はそんな良好な関係性のさらなる発展を期待させる。
コロナ後の縮小傾向はこの先どうなる?
コロナを経て昨年から本格的に再開し、今年は再始動2年目となる本映画祭は、試写会場やイベントステージなどをメイン会場周辺にコンパクトに集約しての開催となった。
コロナ前までは試写やイベント会場だった釜山映画祭発祥の地であるジャガルチは、前夜祭と一部ローカル映画の上映のみ。多様なイベントが実施され、本映画祭の名物でもあった海雲台のビーチステージはなくなっている。
コロナ明けのこの2年の形式がこれからのデフォルトになるのか、かつての華やかで盛大な映画祭へ再び向かうのかはまだ明確ではない。映画祭運営における予算の問題が影響しているようだが、映画が好きな国民性の国だけに後者を期待してしまう。今年のチケット売り場にも、早朝から当日券を求める映画ファンが行列を作っている。そんなファンの思いに十分応える映画祭であってほしい。
今年の本映画祭は、4劇場25スクリーンにて、世界69カ国から209本の招待作品が上映される(ワールドプレミア80本、インターナショナルプレミア7本)。そのほか、Community BIFFによる60本の上映がある。
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