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「新地対艦・地対地精密誘導弾の開発」とは「島嶼防衛用新対艦誘導弾の要素技術の研究」からの移行か

JSF軍事/生き物ライター
防衛省予算令和6年度概算要求より青字「新地対艦・地対地精密誘導弾の開発」

 8月31日、防衛省から来年度防衛予算の概算要求が発表されました。「防衛力抜本的強化の進捗と予算」-令和6年度概算要求の概要-(PDF

 この中に「新地対艦・地対地精密誘導弾の開発(320億円)」という、従来知られていなかった名前の新兵器がいきなり登場しています。対艦・対地兼用の新型ミサイルと思われますが、イメージ絵は掲載されていません。

○ 新地対艦・地対地精密誘導弾の開発(320億円)

長距離飛しょう性能、精密誘導性能など対艦・対地対処能力を向上した新たなスタンド・オフ・ミサイルの開発に着手。

12式地対艦誘導弾能力向上型の地上装置を活用可能。

出典:防衛省予算令和6年度概算要求

 従来、日本国産のスタンド・オフ・ミサイル計画で知られていたのは以下の通りです。

  • 12式地対艦誘導弾能力向上型 ※量産
  • 12式地対艦誘導弾能力向上型(艦発型、空発型) ※開発
  • 潜水艦発射型誘導弾 ※開発
  • 極超音速誘導弾 ※開発
  • 島嶼防衛用高速滑空弾 ※量産
  • 島嶼防衛用高速滑空弾能力向上型 ※開発
  • 島嶼防衛用新対艦誘導弾 ※要素研究

 今回の令和6年度概算要求(PDF)では「島嶼防衛用新対艦誘導弾の要素技術の研究」については既に締結した契約の紹介の部分に登場するのみで、『主要事項』の項目には登場しません。なお1年前の令和5年度概算要求(PDF)では『主要事項』の項目で「島嶼防衛用新対艦誘導弾の要素技術の研究」が記載されています。

 つまり令和6年度概算要求の『主要事項』に突如として記載されている「新地対艦・地対地精密誘導弾の開発」は、『主要事項』から消えた「島嶼防衛用新対艦誘導弾の要素技術の研究」と入れ替わりで登場しています。

「島嶼防衛用新対艦誘導弾の要素技術の研究」→「新地対艦・地対地精密誘導弾の開発」への移行

 ということは、名称が「島嶼防衛用新対艦誘導弾」から「新地対艦・地対地精密誘導弾」に変更されたのではないでしょうか? 要素技術の研究から本格的な開発に移行した際に名称が変更された可能性があります。

 これは対艦・対地兼用の亜音速長距離巡航ミサイルになります。

主要事項のミサイルの比較:令和6年度概算要求と令和5年度概算要求

防衛省予算(令和6年度概算要求)と(令和5年度概算要求)の「主要事項」のミサイル部分
防衛省予算(令和6年度概算要求)と(令和5年度概算要求)の「主要事項」のミサイル部分

防衛省予算(令和5年度概算要求)より「島嶼防衛用新対艦誘導弾」
防衛省予算(令和5年度概算要求)より「島嶼防衛用新対艦誘導弾」

軍事/生き物ライター

弾道ミサイル防衛、極超音速兵器、無人兵器(ドローン)、ロシア-ウクライナ戦争など、ニュースによく出る最新の軍事的なテーマに付いて兵器を中心に解説を行っています。

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