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カタールW杯展望その1。本命ブラジル対抗アルゼンチンというブックメーカーの予想に懐疑的になる理由

杉山茂樹スポーツライター
(写真:ロイター/アフロ)

1)ブラジル5倍、2)アルゼンチン6.5倍、3)フランス7.5倍、4)イングランド8倍、5)スペイン9倍、6)ドイツ11倍、7)ポルトガル13倍、8)オランダ15倍、9)ベルギー17倍、10)デンマーク29倍

 上記は、英国ブックメーカー最大手であるウィリアムヒル社が設定したカタールW杯の優勝予想オッズのトップ10だ(11月16日現在)。本命ブラジル、対抗アルゼンチン。どのブックメーカーを見てもこの見立てに変わりはない。さらに言えば、10チームの顔ぶれや並びにも大差はない。日本は251倍で、韓国、カメルーン、カタールと並び24位タイ。このポジションから「ベスト8以上」(森保監督)を狙おうとしているわけだ。簡単な話ではない。

 グループリーグで組まれているトップ10同士による直接対決は、フランス(3位)対デンマーク(10位)とスペイン(5位)対ドイツ(6位)の2試合。必見の好カードである。ところが後者は、日本ではABEMAでしか視聴できない。地上波では放送の予定がない。大きな間違いを犯している気がしてならない。

 ナショナリズムを高揚させ、自国を応援することだけがW杯の楽しみ方ではない。一方でよいサッカーを鑑賞する絶好の機会でもあるのだ。サッカーが世界のナンバーワンスポーツである理由は様々だが、試合そのものの面白さが1番だ。ハズレの試合はある。しかし当たりに遭遇したときの感激は格別なものがある。さしたる予備知識がなくても、純粋に試合を堪能することもできる。そうした機会に遭遇する割合が他の競技より高いところがサッカーの魅力で、W杯にはその要素が通常よりたっぷり含まれている。

 W杯の魅力についてお復習いすれば、ハイレベルな試合を1ヶ月という短期間に64試合も観戦することができる点だ。あるいは戦術的な魅力という点ではチャンピオンズリーグ(CL)に先行を許しているかもしれない。しかし試合間隔が最短でも1週間空くCLに対しW杯は中3日だ。前戦のイメージが鮮明なうちに次の試合を迎える。断然、分かりやすいのだ。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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