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海自の最新鋭掃海艦「のうみ」が進水 艦名は東能美島・西能美島の総称である「能美」に由来(動画付き)

高橋浩祐米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員
10月24日に進水した海自の最新鋭掃海艦あわじ型4番鑑のうみ(高橋浩祐撮影)

ジャパン・マリンユナイテッドは10月24日、横浜事業所鶴見工場で海上自衛隊向け最新鋭掃海艦(MSO)の進水式を行った。同艦は「のうみ」と命名された。今後は内装工事や性能試験を実施し、2025年3月ごろに海自に引き渡される。

のうみは2020(令和2)年度計画掃海艦で、艦名は江田島と地峡でつながる東能美島・西能美島の総称である「能美」に由来する。この名を受け継いだ日本の艦艇としては、旧海軍の海防艦「能美」に続き、2代目となる。掃海艦の艦名は、海自の訓令で島や海峡(水道・瀬戸を含む)の名前を付与することになっている。

のうみは、掃海艦「あわじ型」の4番艦だ。あわじ型は、もともと海自初の掃海艦で既に退役した世界最大級の木造艦「やえやま型」の性能向上型だ。高性能化した機雷への対処能力を向上するとともに、船体を木造から繊維強化プラスチック(FRP)製に変えた掃海艦となっている。1番艦「あわじ」、2番艦「ひらど」、3番艦「えたじま」はいずれも就役済みだ。

のうみは、あわじ、ひらど、えたじまに続き、艦番号を識別されにくくするためにロービジ(低視認性)塗装が施されている。

●海自最大のFRP製掃海艦

あわじ型は海自で最大のFRP製掃海艦となる。船体に木材ではなく、FRPを使うことで、やえやま型とほぼ同じ寸法ながら軽量化された。さらに耐久性に優れたFRPを採用することで、使用年数が大幅に長くなる長寿命化が図られた。耐衝撃性が向上した分、ライフサイクルコスト(開発・整備から解体に至るまでの総費用)も低くなった。海上幕僚監部広報室によると、寿命は木造艦船が約20年に対し、FRP製は約30年になるという。

のうみは基準排水量690トンで、前級の1000トンのやえやま型掃海艦より310トン小型化する一方、えのしま型掃海艇(MSC)よりは120トン大型化した。全長は67メートルで、最大幅11メートル、深さ5.2メートル、吃水2.7メートル、ディーゼルエンジン2基2軸、出力2200馬力、速力は14ノット。乗組員は約50人。建造費は約126億円。

10月24日に進水した海自の最新鋭掃海艦あわじ型4番鑑のうみ(高橋浩祐撮影)
10月24日に進水した海自の最新鋭掃海艦あわじ型4番鑑のうみ(高橋浩祐撮影)

●高性能化した機雷への対処能力が向上

のうみは特に潜水艦をターゲットにする深深度機雷を排除する能力に優れている。広範囲にわたる深度の機雷探知を可能にする深深度掃海装置1式を備える。海面上を漂流する機雷を昼夜を問わず遠距離から探知できる光学式監視装置(レーザー・レーダー)も搭載している。浮上した機雷を処理するための20ミリ機関砲1基も備える。

のうみは、対機雷装備として、使用一回限りの使い捨ての機雷処分具となる三井造船製の自走式機雷処分用弾薬(EMD)、日立製作所製の新型可変深度式探知ソナー(VDS)システムのOQQ-10、中型の機雷捜索用水中無人機(UUV)のOZZ-4など多くの新装備を搭載している。のうみは日本の技術の結晶ともいえる。

防衛省・海上自衛隊は2022年度予算に、のうみに続くあわじ型5番艦の建造費として134億円を計上した。8月末の2024年度概算要求ではあわじ型6番艦の建造費として262億円が計上された。

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米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員

英軍事週刊誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」前東京特派員。コリアタウンがある川崎市川崎区桜本の出身。令和元年度内閣府主催「世界青年の船」日本ナショナルリーダー。米ボルチモア市民栄誉賞受賞。ハフポスト日本版元編集長。元日経CNBCコメンテーター。1993年慶応大学経済学部卒、2004年米コロンビア大学大学院ジャーナリズムスクールとSIPA(国際公共政策大学院)を修了。朝日新聞やアジアタイムズ、ブルームバーグで記者を務める。NK NewsやNikkei Asia、Naval News、東洋経済、週刊文春、論座、英紙ガーディアン、シンガポール紙ストレーツ・タイムズ等に記事掲載。

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