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オートバイのあれこれ『400とはキャラが違う!?ナナハンのゼファー』

Rotti.モトエンスー(moto enthusiast)

今日は『400とはキャラが違う!?!?ナナハンのゼファー』をテーマにお話ししようと思います。

1970年代を彩ったのが『Z』、80年代を彩ったのが『GPZ』だとするなら、90年代を彩ったカワサキ車は間違いなく『ZEPHYR(ゼファー)』でしょう。

▲ZEPHYR〈1989/画像引用元:川崎重工〉
▲ZEPHYR〈1989/画像引用元:川崎重工〉

絶版バイクがトレンドの近頃は、70〜80年代の空冷Z系モデルの人気ぶりがそのままゼファーにも波及してきている印象がありますね。

ゼファーもそろそろ、“プレミア旧車”の仲間入りでしょうか。

さて、ゼファーシリーズには、元祖・400ccの『ゼファー』、『ゼファー750』、そして『ゼファー1100』という3つのモデルがあります。

今回は、間のモデル『ゼファー750』をピックアップしましょう。

▲ZEPHYR750〈1990/画像引用元:川崎重工〉
▲ZEPHYR750〈1990/画像引用元:川崎重工〉

ゼファー750は、400のゼファーが登場した翌年の1990年(平成2年)にリリースされました。

400のゼファーは、“アンチ・レーサーレプリカ”思想に基づく懐古趣味をはらんだ雰囲気重視のオートバイだったわけですが、ゼファー750はそれとはやや異なるところを目指して開発が行われました。

結論から言うと、ゼファー750の開発で優先されたのは“雰囲気”よりも“扱いやすさ”でした。

ゼファー750が作られていた90年前後の時代というのはまだ「限定解除」の頃で(=教習所では大型二輪免許を取得できなかった)、大型バイクが今以上に“手強い存在”のように思われていました。

そのようななか、カワサキはゼファー750へ“ナナハンでありながらも扱いやすい”というセールスポイントを織り込んだのです。

その設計思想がよく映し出されているのが、エンジン。

ゼファー750には、「ザッパー」こと『Z650』(1976年登場)由来のパワーユニットが搭載されていました。

▲Z650〈1976/画像引用元:川崎重工〉
▲Z650〈1976/画像引用元:川崎重工〉

Z650のエンジンは『750RS』(Z2)系のそれより約20kgも軽く作られており、(軽量ボディに起因する)扱いやすさを求めるゼファー750にはピッタリなエンジンだったのです。

もしゼファー750が“Zへのノスタルジー”というような方向性(=懐古趣味)で開発されていたなら、そのエンジンは750RS由来のものが用いられていたことでしょう。

ザッパー系エンジンを使うところに、カワサキの扱いやすさを追う姿勢を読み取れるのではないでしょうか。

ただその一方、ルックスに関しては400のゼファーより空冷Zの風味が強かったといえます。

空冷Zの始祖である『900SUPER4』(Z1)のスタイリングデザインが丸みを帯びた流麗なものだったように、ゼファー750も曲線が意識的に多用されたシルエットだったのです。

▲900SUPER4〈1972/画像引用元:川崎重工〉
▲900SUPER4〈1972/画像引用元:川崎重工〉

この点については、750と400の外観を見比べるとより分かりやすいかと思います。

▲上が750、下が400。750のほうが“丸み”が強い〈画像引用元:川崎重工〉
▲上が750、下が400。750のほうが“丸み”が強い〈画像引用元:川崎重工〉

“ゼファーの大型バージョン”と簡単に片づけられてしまうことも少なくないゼファー750ですが、その実、750は750で明確に独立したコンセプトがあったのですね。

モトエンスー(moto enthusiast)

バイクを楽しむライター。バイク歴15年で乗り継いだ愛車は10台以上。ツーリング/モータースポーツ、オンロード/オフロード、最新バイク/絶版バイク問わず、バイクにまつわることは全部好き。

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