宇宙ゴミの周回飛行に世界で初めて成功、日本企業「アストロスケール」のデブリ除去事業に弾み
アストロスケール社は30日、世界で初めて宇宙ゴミであるスペースデブリの周りを1周することに成功したと発表しました。
本記事では、撮影したデブリの詳細や、同社のデブリ除去事業について解説していきます。
■世界で初めて接近撮影したスペースデブリを公開
デブリとは、軌道上での人工衛星やロケットの使用後、または故障して不要になった宇宙ゴミのことです。2019年までに、1mm以上のデブリがなんと1億個以上も存在すると推定されています。
増え続ける宇宙ゴミ、人類が宇宙へ出られなくなる「ケスラー・シンドローム」とは?
アストロスケール社は2024年2月18日、既存大型デブリの監視を目的として「ADRAS-J」を打ち上げました。ターゲットとするのは、2009年に打ち上げられたH-IIAロケット15号機の第二段部分です。大きさは約11メートルで、地上約600kmの軌道を周回しています。
ADRAS-Jは今まで、数百メートルの距離に接近しデブリを撮影することに成功していました。そして今回、50メートルの距離まで接近し、周辺を飛行することに挑戦しました。秒速7~8kmと超高速で移動するデブリとの距離を一定に保ちながら飛行をするのは難易度が高く、前例のない運用となります。そして、デブリの周回観測に見事成功し、様々な方向から撮影した画像を公開しました。今まで見ることのできなかったデブリの裏側も撮影に成功し、世界で初めての成果となったのです。今回のような非協力ターゲットへの接近技術は、今後にデブリ除去事業の展開を計画しているアストロスケール社にとって必須の技術となるとのことです。
■増え続ける宇宙ゴミ「スペースデブリ」の除去企業
「アストロスケール」は、宇宙ごみであるデブリの除去・軌道上サービスに取り組む初の民間企業で、2013年に設立されました。「アストロ」とは、ギリシア語語源で「宇宙」。「スケール」は天秤であり、「正義の象徴」を表しています。「宇宙規模で正義と秩序を背負っている社会」として、宇宙開発に持続的に取り組める社会を実現したい、というメッセージが込められているのです。
アストロスケール社は将来的にデブリ除去以外にも、高コストの静止軌道衛星などを対象とした、整備、修理、またはアップグレードなどにも参画するようです。まさに漫画のプラネテスの世界が現実になりそうです。今後の活躍に期待が膨らみますね。
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