主な新興国/米国経済ニュース(7月12日)
ロシア上院、900万円超の高級車の保有税の増税法案を可決―来年施行
ロシア連邦院(上院)は10日、1台300万ルーブル(約900万円)を超える高級車を保有する富裕増への車両保有税を増税する税制改正法案を可決した。改正法は来年1月1日から施行される。ロシアのプライム通信(電子版)などが伝えた。
車両保有税は毎年、自動車の所有者に課税されるもので、今回の税制改正では、車両価格が300万‐500万ルーブル(約900万‐1500万円)で、かつ、(1)経年数(生産から経過した年数)が2‐3年の車両の保有税の算定で使われる追加係数(税金の乗数)は1.1(10%増し)(2)経年数1‐2年の係数は1.3(30%増し)(3)経年数1年未満の係数を1.5(50%増し)―とするとしている。
さらに、車両価格が500万‐1000万ルーブル(約1500万‐3000万円)で、経年数が5年未満の高級車に対する係数は2.0(100%増し)、価格が1000万‐1500万ルーブル(約3000万‐4500万円)で、経年数が10年未満、または1500万ルーブル(約4500万円)超で、経年数が20年未満の高級車に対する係数は3.0(200%増し)とする。
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ルーマニア小売り大手メガ・イメージ、昨年の最終利益3.5倍増―出店増で
ルーマニア小売り大手メガ・イメージが発表した2012年度決算は、売上高が大幅な出店増で、前年比44%増の17億5000万レウ(約510億円)となった。一方、最終利益も同3.5倍増の4670万レウ(約13億7000万円)と、増収増益となっている。地元通信社のメディアファックス(電子版)などが10日に伝えた。
同社はベルギーのスーパーマーケット大手デレーズの子会社として知られ、昨年1年間だけでルーマニア国内で88店舗を新規にオープンさせ、店舗数を前年の約2倍の193店舗へと一気に拡大した。こうした積極的な出店政策に伴い従業員数も前年比33%増の5693人となっている。現在の店舗数は今年に入ってさらに40店舗増えて、計233店舗となっている。
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韓国ニット製品大手ハンソル・テキスタイル、ベトナムに第5工場建設へ
韓国ニット製品大手ハンソル・テキスタイルは、ベトナム南部ベントレ省のザオロン工業団地に新工場を新設する。投資額は5000万ドル(約50億5000万円)で、同社の子会社ユニソル・ビナが建設と運営に当たる。ベトナム通信(電子版)が11日に伝えた。
ハンソルはすでに2001年以降、ベトナムのビンドゥン省とドンナイ省に計4工場を運営している。新工場は来年9月に完成し、従業員数は1万1000人になる予定。
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米金融大手ウェルズファーゴ、投資判断「ニュートラル」に引き下げ
米金融大手ウェルズファーゴの株式投資判断が「ポジティブ」から「ニュートラル」に引き下げられた。これは米投資運用大手サスケナンナ・フィナンシャル・グループ(SIG)のアナリストが9日に顧客向けリポートで明らかにしたもの。引き下げの理由について、同行の株価が目標株価に接近したものの、一段高になる見込みがないとしている。米経済情報専門サイトのマーケットウォッチが11日に伝えた。
ウェルズファーゴの株価は、昨年におよそ25%高となり、目標株価の45ドルの5%の範囲内に入ってきたが、SIGのアナリストは、同行は年末までに住宅ローン関連収入の低下に直面する、と指摘している。このところ、住宅ローン金利が上昇してきているため、リファイナンス(借り換え)ローンの需要が減少しマージンの低下が予想されるとしている。同行の第2四半期(4-6月)決算は12日に発表される予定。同行の10日の株価は前日比0.7%安の42.35ドルとなった。
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米ヤム・ブランズ、4‐6月期決算は減収減益―中国鳥インフルの余波続く中
ファーストフードの「ケンタッキーフライドチキン(KFC)」や「ピザハット」などファーストフードチェーンを運営するヤム・ブランズが11日に発表した今年度第2四半期(4‐6月)決算は、中国での売り上げ不振が響いて、大幅減収減益となった。売上高は前年比8%減の29億ドル(約2900億円)となったことで、最終利益も同15%減の2億8100万ドル(約280億円)となった。
ただ、1株当たり利益(EPS)は同13%減の61セント、一時的項目を除いた1株利益も56セントとなり、市場予想の54セントを上回った。売上高は市場予想の29億3000万ドルをやや下回っている。特に、中国での売上高は、昨年12月に鳥インフルエンザに感染した鶏肉がKFCのサプライヤーで発見されたあともその余波が第2四半期にも及んで消費者離れが止まらず、既存店ベースで前年比20%減となり、主力の米国で同1%増となったものの売り上げ全体を押し下げた。
ただ、デービッド・ノバクCEO(最高経営責任者)は、「中国の売り上げは回復基調にあるのは明るい材料で、2014年は強い業績回復が期待できる」としている。また、「1株当たり利益は通期で5%減になるとの見通しは変えていない」とも述べている。
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インドネシア中銀、予想通り0.5%利上げ―インフレ抑制で
インドネシア中央銀行(BI)は11日の理事会で、インフレの加速を阻止するため、政策金利である翌日物BI金利を一気に0.5%ポイント引き上げて6.5%とすることを決めた。利上げは市場の予想通りで、前回6月会合の0.25%ポイントの引き上げに続いて2回連続となる。
これより先、中銀のアグス・マルトワルドヨ総裁は2日の声明文で、「中銀は次回(7月11日)の会合で、最近の燃料価格の引き上げによるインフレ率の上昇を食い止めるため、予防的措置を講じる」と述べ、利上げを予告していた。
また、中銀は資金吸収のための翌日物預金ファシリティー金利(FASBIレート)も0.5%ポイント引き上げて4.75%とした。
中銀は理事会後に発表した声明文で、インフレの現状認識について、「燃料補助金の削減に伴うインフレ期待の上昇で、6月の消費者物価指数(CPI)は前月比1.03%上昇、前年比5.9%上昇となった。しかし、燃料価格の上昇の影響は一時的で3カ月間続く。CPIは7月にピークに達し、8月から低下に転じ9月には通常の水準に戻る」とした。その上で、「政府の燃料価格の上昇の悪影響を緩和する措置と相まって、インフレ率は中銀の2013年と2014年の物価目標(4.5%プラスマイナス1%)の範囲内にまで低下する」と述べ、当分の間、インフレの加速を警戒する必要性を示した。
エコノミストは、中銀はインフレの悪化を食い止めるため、今後数カ月は利上げを続けると見ている。また、世銀は2日に発表した、インドネシアのインフレ見通しで、6月末の燃料補助金の廃止に伴う燃料価格の上昇によって、インフレ上昇圧力が高まるとし、今年のインフレ率は前回予想時の5.5%上昇から7.2%上昇へ、来年についても前回予想時の5.2%上昇から6.7%上昇へと、いずれも下方修正(悪化)している。
一方、中銀は、景気の現状認識について、声明文で、「今年4-6月期と7-9月期の経済成長率はいずれも5.9%増に鈍化する」とし、その上で、「今年の成長率は、輸出の伸びの鈍化とコモディティ(国際相場商品)価格の低迷で、4月予想時の6.2‐6.6%増を下回る5.8-6.2%増を予想している」と述べ、成長率の見通しを下方修正した。ただ、「今年10-12月期から2014年にかけて景気が上向き、2014年は6.4-6.8%増になる」と予想している。
次回の金融政策決定会合は8月15日に開かれる予定。 (了)