認知症の【病的な物忘れ】と【正常な物忘れ】の見分け方【介護福祉士が漫画でわかりやすく解説】
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中高年になると、一気に『物忘れ』が増えてきますね。わたしもその一人です。
「あそこの…あの人の…それ…」
『固有名詞』がなかなか出てこなくて、イライラすることがあります。
物を取りに行こうとして、途中で電話がかかってくると、電話が終わった頃には、何を取りに行こうとしていたのか、すっかり忘れていることもありますね。
これは認知症の始まりなのでしょうか?
皆さんはいかがですか?
・顔をよく知っているタレントの名前が出てこない。
・家の鍵やスマホ、メガネなど、探し物ばかりしている。
・家族から、同じ話ばかりしていると言われる。
などなど、気になる物忘れはありませんか?
『正常な物忘れ』と『病的な物忘れ』
『物忘れ』には、
加齢などによる『正常な物忘れ』
と
認知症などによる『病的な物忘れ』
があります。
その違いを知っておきましょう。
〇『正常な物忘れ』の特徴
若い人にもときどきある、正常な物忘れの特徴は以下のとおりです。
1.ヒントがあれば思い出せる
2.物忘れの自覚がある
3.体験したことの一部を忘れる
・ご飯を食べたことは覚えているが、メニューが思い出せない。
・テレビドラマを見たことは覚えているが、誰が出演していたか思い出せない。
そのような、一部が思い出せない物忘れなら、若い人にもある『正常な物忘れ』だと思ってよいでしょう。
●『病的な物忘れ』の特徴
1.ヒントがあっても思い出せない
2.体験したこと自体を忘れる
久しぶりに会った人の名前を思い出せないのは『正常な物忘れ』ですが、数分前に人に会ったこと自体を覚えていないのは『病的な物忘れ』の可能性があります。
3.日常生活に支障をきたす
自分でタンスの一番奥に財布をしまったのに、しまった場所も、しまったこと自体も忘れてしまって、
「財布を盗まれた!」
と大騒ぎする『物盗られ妄想』は、認知症によくある症状です。
このような日常生活に支障をきたす状態になったら、『病的な物忘れ』だといえるでしょう。
しかし、『病的な物忘れ』が始まったからといって、全面的に悲観する必要はありません。
認知症の初期段階の『軽度認知障害(MCI)』の段階であれば、食生活の見直しや適度な運動を行ったり、人との交流を増やすなどの生活習慣の見直しで、回復する可能性があります。
・栄養バランスがとれた食事をしているか
・運動不足になっていないか
・人との交流の機会は減っていないか
これらの生活状態に以前と変化が見られたら、生活習慣の改善により、ある程度の認知症予防ができることが、最近の研究によって明らかになっています。
『正常な物忘れ』なら気にする必要はありませんが、もし『病的な物忘れ』が見られたら、まずは生活習慣のチェックと改善から始めてみましょう。