Yahoo!ニュース

認知症の【病的な物忘れ】と【正常な物忘れ】の見分け方【介護福祉士が漫画でわかりやすく解説】

YouTubeでも漫画と解説を配信しています。記事の感想や質問もこちらでお待ちしております。

中高年になると、一気に『物忘れ』が増えてきますね。わたしもその一人です。

「あそこの…あの人の…それ…」

『固有名詞』がなかなか出てこなくて、イライラすることがあります。

物を取りに行こうとして、途中で電話がかかってくると、電話が終わった頃には、何を取りに行こうとしていたのか、すっかり忘れていることもありますね。

これは認知症の始まりなのでしょうか?

皆さんはいかがですか?

・顔をよく知っているタレントの名前が出てこない。

・家の鍵やスマホ、メガネなど、探し物ばかりしている。

・家族から、同じ話ばかりしていると言われる。

などなど、気になる物忘れはありませんか?

『正常な物忘れ』と『病的な物忘れ』

『物忘れ』には、

加齢などによる『正常な物忘れ』

認知症などによる『病的な物忘れ』

があります。

その違いを知っておきましょう。

〇『正常な物忘れ』の特徴

若い人にもときどきある、正常な物忘れの特徴は以下のとおりです。

1.ヒントがあれば思い出せる

2.物忘れの自覚がある

3.体験したことの一部を忘れる

・ご飯を食べたことは覚えているが、メニューが思い出せない。

・テレビドラマを見たことは覚えているが、誰が出演していたか思い出せない。

そのような、一部が思い出せない物忘れなら、若い人にもある『正常な物忘れ』だと思ってよいでしょう。

●『病的な物忘れ』の特徴

1.ヒントがあっても思い出せない

2.体験したこと自体を忘れる

久しぶりに会った人の名前を思い出せないのは『正常な物忘れ』ですが、数分前に人に会ったこと自体を覚えていないのは『病的な物忘れ』の可能性があります。

3.日常生活に支障をきたす

自分でタンスの一番奥に財布をしまったのに、しまった場所も、しまったこと自体も忘れてしまって、

「財布を盗まれた!」

と大騒ぎする『物盗られ妄想』は、認知症によくある症状です。

このような日常生活に支障をきたす状態になったら、『病的な物忘れ』だといえるでしょう。

しかし、『病的な物忘れ』が始まったからといって、全面的に悲観する必要はありません。

認知症の初期段階の『軽度認知障害(MCI)』の段階であれば、食生活の見直しや適度な運動を行ったり、人との交流を増やすなどの生活習慣の見直しで、回復する可能性があります。

・栄養バランスがとれた食事をしているか

・運動不足になっていないか

・人との交流の機会は減っていないか

これらの生活状態に以前と変化が見られたら、生活習慣の改善により、ある程度の認知症予防ができることが、最近の研究によって明らかになっています。

『正常な物忘れ』なら気にする必要はありませんが、もし『病的な物忘れ』が見られたら、まずは生活習慣のチェックと改善から始めてみましょう。

介護福祉士として通所介護(老人デイサービスセンター)や訪問介護(ホームヘルパー)の現場で働いてきました。研究会での発表や、学術誌へのケースレポートの投稿なども積極的に行なっています。また、子どもの頃から好きだった漫画やイラストを描くことで、認知症の知識や介護のコツをわかりやすく伝えることを心がけています。

【介護マンガ】夢はるかの最近の記事