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【速報】中国のロケット 打ち上げ後に居住地域付近に落下、燃料のヒドラジンは人体に有毒な物質

6月22日に打ち上げられた長征2Cロケット 出典:CNSA

6月22日、中国はX線観測衛星を長征2Cロケットで打ち上げました。しかし、その後ロケットの第一段は地面に衝突してしまいます。本記事では事故の詳細をはじめ、過去に発生したロケット墜落事故も解説していきます。

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■ロケット落下の詳細

落下中に撒き散っている黄色い煙は、燃料のヒドラジンであると見られます。この燃料は毒性が非常に強く、人体に入り込むと腐食を引き起こします。しかし、落下地点は居住地域の周辺であり、地元政府は打ち上げ前に周辺住民を適切に避難させなかったため、住民が逃げ惑う姿が映し出されています。

中国のロケット墜落事故は今回が初めてではなく、今までに繰り返し発生しています。1996年のロケット墜落事故では、村が壊滅するほどの被害が出ましたが、メディアは報じなかったため自国ではほとんど知られていません。

更に宇宙ステーションの地球落下や、月面へのロケット衝突など、様々な重大事故が発生しています。

■過去には村が壊滅した事故も発生

長征3Cロケット 出典:CNSA
長征3Cロケット 出典:CNSA

1996年、人工衛星を搭載した中国のロケット「長征3号B」が打ち上げられました。しかし、打ち上げ直後に機体のコントロールを失い、そのまま近隣の村に落下してしまいます。報道によると、この事故で6名が死亡し、57名が負傷したと報じていますが、実際の死亡者は数百人規模にのぼる大惨事であったと考えられています。この際、人間の体や金属を溶かしてしまうほどの危険な物質である「ヒドラジン」が一帯に飛散し、村は壊滅してしまったとのことです。

ちなみに、中国のロケットは必ず自国に落下するわけではありません。2020年には、長さ12mもある中国ロケットの破片がアフリカ・コートジボワールの村に落下し、建物が損壊したことが報じられています。今や、どの国に落下してもおかしな話ではなくなってきているのです。

■月面にもロケットが落下?

ロケット墜落後に月面に形成されたクレーター 出典:NASA/GSFC/アリゾナ州立大学
ロケット墜落後に月面に形成されたクレーター 出典:NASA/GSFC/アリゾナ州立大学

2022年3月、宇宙を漂う何らかの人工物が月の裏側に衝突したというニュースがありました。それは、月面に幅約30メートルのクレーターを形成する程の衝撃を与えました。

その人工物は当初、気候観測衛星を打ち上げたファルコンナインロケットと断定されていました。しかし、その後の詳細な軌道解析により、正体は2014年に打ち上げられた中国のロケット「長征3号C」であることが判明したのです。中国は問題のロケットが打ち上げられた後、残骸は全て地球の大気圏に再突入して燃え尽きたと発表していました。

しかしアメリカの調査によると、ロケットは大気圏には再突入しておらず、宇宙を浮遊し続けていたと推定されています。これから加速されていく月面開発の前に、月が宇宙ゴミでいっぱいになってしまうかもしれませんね。

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