世界トップシェフと伝説のシェフが夢のコラボレーション 想像を超えた全16品とは?
世界のイタリアンでトップシェフに
「アルマーニ / リストランテ 東京」は2021年12月、イタリアの有名グルメ専門誌「ガンベロ・ロッソ「Gambero Rosso)」が発表した「トップイタリアンレストラン 2022(Top Italian Restaurants 2022)」で最高ランクの3を獲得しました。加えて、エグゼクティブシェフを務めるカルミネ・アマランテ(Carmine Amarante)氏が、世界でただ1人にだけ贈られる「シェフ・オブ・ジ・イヤー(The Chef of the Year)」を受賞。
この実力派のアマランテ氏が腕をふるう「アルマーニ / リストランテ 東京」で、つい先日、エクスクルーシブなディナーが開催されました。それは、世界の「アルマーニ / リストランテ」で数ヶ月かけて行われている「アルマーニ ・レストランツ・インシエメ(Armani Restaurants Insieme)」。
世界から有名なゲストシェフを招聘したコラボレーションディナーです。具体的な日程は次の通り。
アルマーニ ・レストランツ・インシエメの日程
・2023年4月20日、22日
アルマーニ / リストランテ 東京&アルベルト・アドリア
・2023年5月16日、17日
アルマーニ / リストランテ ニューヨーク&ダニ・ガルシア
・2023年6月12日、13日
ノブ ミラノ(アルマーニ ホテル内)&アルベルト・アドリア
・2023年9月26、27日
アルマーニ / リストランテ ニューヨーク&アルベルト・アドリア
※開催日は変更になる可能性あり
第1回目は東京で開催
このコラボレーションディナーのシリーズにおいて、第1回目が「アルマーニ / リストランテ 東京」で開催。世界のトップにも輝いたアマランテ氏が、スペイン・バルセロナで活躍するシェフのアルベルト・アドリア氏を迎えて、特別コース(ペアリング付き、60,000円、税・サ込)を紡いだとあって大きな話題になりました。
アドリア氏は、伝説のミシュランガイド三つ星レストラン「エル・ブリ」でキャリアをスタート。いくつかのレストランやバーを経営し、2017年にバルセロナでオープンした「エニグマ」が、スペインで唯一となるアドリア氏のレストランになっています。
アマランテ氏はイタリアのナポリ出身で、2018年28歳の時に来日しました。「ハインツ・ベック」のエグゼクティブシェフに就任してミシュランガイド一つ星を獲得し、2020年に「アルマーニ / リストランテ 東京」のエグゼクティブシェフに着任。
さらに今回は、同じくアルマーニが運営する、イタリアのミシュランガイド一つ星の現代風アジア料理「ノブ ミラノ」でエグゼクティブシェフを務めるアントニオ・ダンジェロ氏もホストとしてコラボレーションに参加しました。
コースの内容
3人の世界的シェフが共演した“6ハンズ”のディナーコースは次の通り。
・自家製カラスミ アーモンド マッシュルームティー(アルベルト・アドリア氏)
・海苔タコス ハマチのマリネ(アントニオ・ダンジェロ氏)
・自家製ブレザオラ ブリオッシュ シトラス(カルミネ・アマランテ氏)
・烏賊 ラード 雲丹(アルベルト・アドリア氏)
・白アスパラガスタルト ベルネーズフォーム クリスタルキャビア(カルミネ・アマランテ氏)
・豆乳ブッラータ そら豆(アルベルト・アドリア氏)
・大根 “コシード”(アルベルト・アドリア氏)
・蛤 鴨出汁 シナモン スナップえんどう(アルベルト・アドリア氏)
・バジル蕎麦 トマトポン酢 フリーズドライモッツァレラ(アルベルト・アドリア氏)
・リソディセモラ サフラン(カルミネ・アマランテ氏)
・燻製鰻 小豆 林檎(アントニオ・ダンジェロ氏)
・鹿肉 パンチェッタ マスタード ベビーレタス(アルベルト・アドリア氏)
・玉子サンド(アルベルト・アドリア氏)
・オレンジ ゼラチン フレッシュ山葵(アルベルト・アドリア氏)
・醤油アイスクリーム 海苔(アルベルト・アドリア氏)
・コーヒー チョコレート ヘーゼルナッツ ワインコルク(アルベルト・アドリア氏)
全部で16品と少量多皿の構成。料理名だけを見ても、どういったものが登場するのか想像できず、期待感が高められます。ゲストシェフであるアドリア氏が11皿、アマランテ氏が3皿、ダンジェロ氏が2皿を紡ぎました。
ワインペアリング
ガラディナーにはワインペアリングも付いていました。
・フランチャコルタ キュヴェ プレステージ カ・デル・ボスコ(Franciacorta Cuvée Prestige S.A. Ca' Del Bosco)
・フリウリ・イソンツォ “グリス” リス・ネリス 2019(Friuli Isonzo "Gris" 2019 Lis Neris)
・トスカーナ “バタール” クエルチャベッラ 2019(Toscana "Batar" 2019 Qureciabella)
・ピノ・ネロ バーテナウ “ヴィーニャ・サン・ウルバノ” ホフスタッター 2016(A.A. Pinot Nero Barthenau "Vigna San Urbano" 2016 Hofstatter)
・ルチェンテ テヌータ・ルーチェ 2019(Lucente 2019 Tenuta Luce)
・ヴェネツィア・ジューリア “ペンシエロ” ペトルッサ 2018(Venezia Giulia "Pensiero" 2018 Petrussa)
イタリアのプレミアムワインばかりで、フランチャコルタ、白ワイン、赤ワイン、デザートワインまで、料理に寄り添うグラスがセレクトされています。
では、世界的シェフが生み出した特別コースを全て紹介しましょう。
自家製カラスミ アーモンド マッシュルームティー(アルベルト・アドリア氏)
最初に3品のアミューズが登場します。
プレーンと海苔を巻いたものと2種類の自家製カラスミ「ボッタルガ」、スプーンにのせられたアーモンドクリームとオリーブオイル、目の前で入れられるマッシュルームのお茶。最初にプレーンのボッタルガ、次にアーモンドクリームとオリーブオイル、最後に海苔で巻いたボッタルガを食べると、バランスがよいです。
マッシュルームティーは好きな時に飲んで、口中をリフレッシュさせます。ボッタルガは厚めにカットされていますが、塩味が強すぎず、しっとりとしていてクリーミー。
海苔タコス ハマチのマリネ(アントニオ・ダンジェロ氏)
海苔風味の真っ黒なタコスはパリパリのハードシェル。細かくカットしたハマチはエクストラヴァージンオリーブオイルでマリネしています。ハマチの脂は、オリーブオイルの香りと海苔の風味にマッチしていました。
自家製ブレザオラ ブリオッシュ シトラス(カルミネ・アマランテ氏)
ブレザオラは北イタリアのロンバルディア地方で作られた、牛肉の生ハムです。ブリオッシュの上には、半年間も熟成させたコクのある和牛モモ肉の生ハム。柑橘とマヨネーズでメリハリのついた味わいです。
烏賊 ラード 雲丹(アルベルト・アドリア氏)
包丁で薄くスライスしたアオリイカの上には、雲丹とラード。ピンセットで包み込んでから食べるという、興味深い食べ方です。海の滋味にはオリーブオイルやワサビを合わせて。
白アスパラガスタルト ベルネーズフォーム クリスタルキャビア(カルミネ・アマランテ氏)
敷き詰めた菊の上に、堂々と咲くタルト。生地にはホワイトアスパラガスと卵黄のクリームが詰められていて、トップにはたっぷりのキャヴィアリ社のクリスタルキャビアと金箔。タルトは薄くてクリスピーで、ホワイトアスパラガスはシャキシャキ感があります。
豆乳ブッラータ そら豆(アルベルト・アドリア氏)
そら豆に豆乳のブッラータを重ねて、オリーブオイルを合わせました。ブッラータの濃厚さと、そら豆の青い食味がよいコントラスト。横には可憐なハナビラ茸を添えました。
大根 “コシード”(アルベルト・アドリア氏)
コシード(Cocido)は、ポトフのようなスペインの伝統的な煮込み料理。竹串に刺した大根は、まるで“おでん”のようです。ジューシーな大根にはパン粉をまとわせ、花山椒のピリッとした刺激も。
蛤 鴨出汁 シナモン スナップえんどう(アルベルト・アドリア氏)
軽く火入れした潮の香りがする蛤に、クリアな鴨出汁のスープ。スナップエンドウの甘味と木の芽の鮮やかな香りも、春らしさを演出しています。
バジル蕎麦 トマトポン酢 フリーズドライモッツァレラ(アルベルト・アドリア氏)
喉越しのよいバジルの蕎麦には、仕上げに目の前でフリーズドライのモッツァレラチーズが削られます。澄んだトマトウォーターのスープが、バジルの香味を際立たせていました。
リソディセモラ サフラン(カルミネ・アマランテ氏)
米の形をしたパスタのリゾット「リソディセモラ サフラン(Riso Di Semola)」。パスタは、アマランテ氏の故郷であるナポリの人口約3万人の小さな町グラニャーノでつくられています。佐賀県のサフランの麗しい香りや、金粉の輝きで、華やかな一皿に。
燻製鰻 小豆 林檎(アントニオ・ダンジェロ氏)
厚みのある燻製した鰻に、小豆のピューレと角切りした林檎を合わせた一皿。チリやワサビの辛味が、鰻の脂を引き立てています。
鹿肉 パンチェッタ マスタード ベビーレタス(アルベルト・アドリア氏)
ロゼ色に仕上げた鹿肉をパンチェッタで巻き、塩味と香味を深めています。ベビーレタスは甘く、マスタードが全体を引き締めます。
玉子サンド(アルベルト・アドリア氏)
衣揚げした玉子は、甘辛い鶏のジュとの相性が抜群。スナック感覚でいただける“〆のお食事”です。
オレンジ ゼラチン フレッシュ山葵(アルベルト・アドリア氏)
「せとか」のゼラチンに、すりおろしたワサビをのせました。フレッシュな酸味と辛味で口中をさっぱりとさせてくれます。
醤油アイスクリーム 海苔(アルベルト・アドリア氏)
目の前でつくり上げてくれます。海苔で醤油アイスクリームをサンドした和風のデザート。海苔の香りと醤油の旨味がアイスクリームによく合っているのが興味深いところです。
コーヒー チョコレート ヘーゼルナッツ ワインコルク(アルベルト・アドリア氏)
見た目はコルクのようで、中にはチョコレートが包まれています。チョコレート、コーヒー、ヘーゼルナッツと相性のよい組み合わせで、非常に香ばしいです。
イタリアワイン
ペアリングされたワンについてもいくつか紹介しましょう。
最初のスパークリングワインは「フランチャコルタ キュヴェ プレステージ カ・デル・ボスコ」。美しいゴールドを帯びたイエローで、シャルドネ主体。繊細な香りとイーストのような香りがありながらも、トロピカルフルーツのニュアンスもあります。アドリア氏やアマランテ氏のクリエイティブなアミューズにもぴったりです。
「トスカーナ “バタール” クエルチャベッラ 2019」はミネラル感がしっかりとある白ワイン。柑橘系のピールのような印象もあります。旨味も感じられるので、大根のコシードや蛤と鴨出汁のスープのおいしさを引き出していました。
「ピノ・ネロ バーテナウ “ヴィーニャ・サン・ウルバノ” ホフスタッター 2016」はピノ・ネロ 100%の赤ワイン。上品な酸味と甘いタンニンがあり、スパイシーな香りもあります。香り高いサフランのリゾットや重厚な鰻との相性が抜群です。
「ヴェネツィア・ジューリア “ペンシエロ” ペトルッサ 2018」は甘口のパッシートワイン=陰干しブドウのワイン。ソフトな味わいで、甘味と酸味のバランスがよいです。蜂蜜のような香味が醤油アイスクリームとよく合っていました。
テーブルウェアと日本文化
料理とワインに加えて、他にも言及するべきことがあります。
まずは一流のテーブルウェア。さすがアルマーニのリストランテということで、テーブルウェアもセンスが光ります。カトラリーは鮫皮調のアルマーニ / カーザ、プレートはカマチ陶舗の有田焼からフランス・リモージュの名窯ジャン・ルイ・コケと創造的な料理を彩るに相応しい品々が用いられています。
次に触れたいのが、日本文化との融合。アドリア氏、アマランテ氏、ダンジェロ氏ともに日本に知悉しており、日本の食材や食文化へのリスペクトが全体を通して感じられました。海苔や山葵が随所で効果的に使われていたり、和牛のハムや燻製鰻が主役になっていたり、豆乳や大根が登場したり、さらには蕎麦へのオマージュがあったり、アイスクリームが醤油味であったりと、興味深い珠玉のクリエーションが体験できたことは驚きに値します。
2回目以降にも期待
ここまで紹介してきたように、「アルマーニ / リストランテ 東京」で行われた「アルマーニ ・レストランツ・インシエメ」は、まさに特別なコラボレーションディナーでした。
世界で開催される「アルマーニ ・レストランツ・インシエメ」の記念すべき第1回目が東京で行われたのは、日本にとって非常に誇らしいことです。東京を離れるのは少し寂しいですが、それと同時に、第2回目以降もますます目が離せなくなりました。