オートバイのあれこれ『クウォーターマルチの礎・GS250FW』
全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。
今朝は『クウォーターマルチの礎・GS250FW』をテーマにお話ししようと思います。
2020年にカワサキから『ZX-25R』が登場し、最近ホットなトピックとなっているクウォーターマルチ(250ccの4気筒)エンジン。
80年代後半にはヤマハ『FZR250』やスズキ『GSX-R250』等、また90年代においてはホンダ『ホーネット』やカワサキ『バリオス』等に搭載され、クウォーターマルチはポピュラーな存在でしたね。
そんなクウォーターマルチエンジンを搭載した最初の市販車が、スズキの『GS250FW』でした。
250ccの水冷4気筒2バルブDOHCエンジンを搭載していたGS250FWは、「ついに4気筒が250ccクラスにもやって来た」ということで話題を呼びました。
しかしながら、GS250FWがデビューした1983年(昭和58年)、スズキは同時に2ストレプリカモデルの『RG250ガンマ』もリリースし、ロードレースの人気が高まっていたなかで世間の興味はガンマのほうに集中してしまいます。
250ccという小さなエンジンに、4つのピストンとツインカム、そして水冷システムを詰め込んだGS250FWは当時としては十分ハイテクなオートバイだったものの、さすがに当時のレーサーレプリカ人気には抗うことができず、2年ほどで後継モデルの『GF250』へバトンを継ぐ形で消えていったのでした。
ただ、このGS250FWが当時のバイク業界に刺激を与えたのもまた事実で、ヤマハは85年に同じ4気筒エンジンを搭載した『FZ250フェーザー』を、ホンダは86年に『CBR250FOUR』をそれぞれリリース。
以降は250ccクラスにおいても4気筒エンジンが定着し、やがてレプリカブームに伴うクウォーターマルチ合戦へと繋がっていくのでした。
GS250FW自体はメジャーな存在にはなれませんでしたが、クウォーターマルチの先駆けとなったという点では、決して見過ごすことのできない1台だと言えるでしょう。