北朝鮮が250台もの「火星11ラ」短距離弾道ミサイル発射車両を一挙に引き渡し
8月5日、北朝鮮は「250台の新型戦術弾道ミサイル発射台を国境第1線部隊に引き渡した」として、8月4日に盛大な記念式典を行ったと発表しました。ミサイルの名称は公表されていませんが、形状から4連装発射機の「火星11ラ」型です。公表された写真からは本当に250台分を確認できます。
※正式名称は「火星砲-11ラ(화성포-11라)」。ラはカナダラで4番目の文字という意味があり、火星11ラは火星11Dや火星11丁と同じ意味になる。
23×4+23×4+17×2+17+14=249台
+1台
一枚の写真に249台が並んで写っています。そして画面奥の式典の開催場に1台を特別展示しているので、これを足して合計250台となります。またこれまで知られている火星11ラのミサイルの塗装は茶色でしたが、実戦部隊用の塗装なのか新たに緑色の塗装に変更されています。緑色の塗装は火星11カ(KN-23)で前例があります。
火星11ラは確認されている射程が110~240kmで、射程や大きさがアメリカのATACMSや韓国のKTSSM(韓国名称:ウレ)とよく似ています。ただし火星11ラにはATACMSやKTSSMには無いジェットベーンが装着されており、技術的には火星11カ(KN-23)の縮小版と見做せます。つまりロシアのイスカンデルMを小型化したような短距離弾道ミサイルです。
※短距離弾道ミサイル(SRBM)よりも射程が短い近距離弾道ミサイル(CRBM)に分類する場合もあるが、後者はあまり一般的な用語ではない。
追記:火星11ラのジェットベーン
火星11ラの発射車両は4連装発射機であり、250台がもし一斉発射すると1000発もの大量の飽和攻撃を仕掛けられます。現実にはたとえ実戦になっても全ての発射車両が同時に一斉に発射できる機会は先ず無いのですが、それでも相当な数のミサイルを前線に叩き込めます。火星11ラは弾道ミサイルとしてはかなり小さな部類ですが、これだけの数の火力は韓国軍と在韓米軍にとって非常に大きな脅威となるでしょう。
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