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昨年のリーグ優勝チームがトレードでリリーフ左腕を獲得する。現在、13登板連続無失点を継続中

宇根夏樹ベースボール・ライター
A.J.パック Jul 6, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月25日、アリゾナ・ダイヤモンドバックスは、マイアミ・マーリンズからA.J.パックを獲得した。ジ・アスレティックのケン・ローゼンタールらによると、交換に手放したのは、マイナーリーガーの野手2人、デイビソン・デロスサントスアンドルー・ピンターだという。

 パックは、29歳の左投手だ。2016年のドラフトでオークランド・アスレティックスから全体6位指名を受け、2019年にメジャーデビュー。昨年2月のトレードで、アスレティックスからマーリンズへ移籍した。このトレードについては、こちらで書いた。

「「ドラフト全体6位の28歳」と「全体4位の25歳」を交換。このトレードで両球団が意図しているのは…」

 昨シーズンは、58登板で56.2イニングを投げ、奪三振率12.39と与四球率2.06、防御率3.97を記録した。今シーズンは、先発投手に転向し、開幕ローテーションに入ったが、肩を痛めるまでの4登板で防御率9.22。復帰後は、リリーフ投手に戻った。そこからの28登板は、30.1イニングで奪三振率9.79と与四球率1.78、防御率2.08だ。6月23日以降の13登板は、15.0イニングを投げ、引き継いだ走者の生還はあるものの、自身の失点はない。

 ダイヤモンドバックスのブルペンには、ジョー・マンティプライしか左投手がいなかった。また、マンティプライを含め、25登板以上の6人中5人は、奪三振率8.80未満だ。

 パックは、セットアッパーとして起用されそうだが、試合を締めくくる機会もあるかもしれない。クローザーのポール・シーウォルドは、今月の9登板中4登板で点を取られている。いずれも、2失点以上だ。

 パックがFAになるのは、2026年のオフなので、ダイヤモンドバックスは、2025年と2026年も保有できる。来シーズン以降は、先発再転向の可能性もゼロではない。

 7月25日が終わった時点で、ダイヤモンドバックスは、ナ・リーグ西地区の3位にいて、首位のロサンゼルス・ドジャースに8.5ゲーム離されている。だが、この地区の2位、ワイルドカード・レースの3位に位置するサンディエゴ・パドレスとの差は、1.0ゲームに過ぎない。2年連続リーグ優勝――と2度目のワールドシリーズ優勝――の望みは、まだ潰えていない。

 ダイヤモンドバックスは、創設4年目の2001年に、初めてのワールドシリーズで優勝を飾った。ワールドシリーズ進出は、昨年が2度目だ。

 なお、ローテーションには、約1ヵ月ぶりにジョーダン・モンゴメリーが戻ってきて、7月23日の復帰登板は、5イニングを投げて1失点にとどめた。4月から離脱しているメリル・ケリーと今シーズン未登板のエデュアルド・ロドリゲスも、うまくいけば、来月上旬に復帰できそうだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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