SM-3ブロック2A迎撃ミサイルが「遠隔交戦」による迎撃実験に成功
米ミサイル防衛局と日本防衛装備庁の発表によると、2018年12月11日(日本時間)、ハワイ沖で実施された迎撃実験FTI-03「ステラーヴァヴェル」で日米共同開発中の弾道ミサイル防衛用迎撃ミサイル「SM-3ブロック2A」が迎撃実験に成功しました。今回はカウアイ島のイージスアショア実験施設からSM-3ブロック2Aが発射されています。標的ミサイルはC-17輸送機から空中投下された中距離弾道ミサイル標的でした。SM-3ブロック2A迎撃ミサイルは前回10月26日の実験成功に続き今回の成功により2連続で成功、通算5回中3回目の成功となります。
今回のFTI-03実験ではSM-3ブロック2A迎撃ミサイルにとって3つの初成功が達成されています。
- イージスアショアからのSM-3ブロック2Aによる初の迎撃成功
- 中距離弾道ミサイルへのSM-3ブロック2Aによる初の迎撃成功
- エンゲージ・オン・リモート(遠隔交戦)による初の迎撃成功
1番目と2番目は従来型のSM-3ブロック1A/Bでも達成済みですが、3番目の「エンゲージ・オン・リモート(遠隔交戦)」はSM-3シリーズ通じて初めての成功となります。エンゲージ・オン・リモートとはデータリンクにより前方展開したレーダーの情報によって後方に置かれた迎撃システムがミサイルを誘導する方法で、例えば日本海に前方展開したイージス艦のレーダー情報で、日本本土のイージスアショアや太平洋側のイージス艦の迎撃ミサイルを誘導することが可能となります。詳しくは過去の関連記事「前方展開レーダーの役割が重要な弾道ミサイル防衛システム」を参照してください。
今回のFTI-03実験で使用された前方展開レーダーはレイセオン社製「AN/TPY-2」です。これはTHAAD用の車載移動式レーダーで、在韓米軍にはTHAAD迎撃ミサイルシステムの一部として、在日米軍にはレーダーのみで配備済みです。AN/TPY-2はイージス・システムと連接し、エンゲージ・オン・リモートによる交戦が可能であることを実証して見せました。